第2話 聖地の砂上の花 王国の護り手

聖地の中にある十字軍が建国したエルサレム王国 

それは砂上の王国、脆く崩れゆく砂の花なのかもしれない


その手腕と人柄、軍功によりエジプトを支配者となり王として英雄となった

サラデイン‥サラーフ・アッディーン

それが敵の王、イスラムの王なのだ


まだ十代半ば、病に侵された少年の王ボードワン4世 今でいうハンセン病


彼は戦を前に兵士たち、皆が見守る中で戦場に掲げた十字架に祈りを捧げた

エルサレム王国の勝利と祝福を‥


整っていた容姿、動かなくなってゆく片腕に

たゆまぬ努力で両足の力だけで馬を操るすべを得た 

優しい静かな声でいつも廻りの達を労り、それから‥

ただ、王国を守る王として戦場で跪き頭を垂れて祈りの言葉を紡ぐ

彼を祝福するように一条の光


「我らが王!」「ボードワン4世様!」人々の声が上がる

人々に触れる事も‥疎まれ恐れられる病

病の王‥だが人々の熱狂と共に若い少年の王は其処にある


その光景に当時の聖ヨハネ騎士団、テンプル騎士団たちもあとに続く


「聖ヨハネ騎士団長 騎士団総長ロジェ・ドウ・ムーラン様  

テンプル騎士団長ウード・ドウ・サン・アマン様」もいる」


「あのサラデイン相手だけど ボードワン様はより抜くか‥」

長い黒髪の少年がその光景を見ている 青い瞳は魔物の金色に色を変えていた

少し先の未来 未来視


「そうね、シオンちゃん うふふ」黒髪の少年によく似た少女が笑う

「サラ」「行こうよシオンちゃん 戦場を狩るよ」



※病に関しては当時の情報です 今は治癒できます







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