謎多き大英雄
とある考古学者が、こんな内容の論文を発表した。
「織田信長の家臣、忌部氏はユダヤ人の末裔であった」
一方、当の本人信長は空飛ぶ車でアメリカに向かっていた。かの有名な黒人、弥助も一緒だ。弥助もロボットになったのだ。信長は通知を受け取った。
「何?わしの家臣がユダヤ人の末裔?」
「黒人に続いてユダヤ人とは、信長様はかなりグローバルな視野の持ち主だったのですね」
「杉原殿になんて言われるか」
NASAの本部に着いて、信長は緊張しながら自己紹介をした。
「わしが世界を代表する英雄、織田信長だ!よろしくお頼みします」
人間はざわついた。
「織田信長といえば、家臣に黒人がいたよね?」
「お呼びですか?」
弥助が人間の前に姿を現した。
「そうそう!信長ってすごいよな、奴隷ではなく家臣にするというね」
「さっきこんなニュースを見た!信長の家臣がユダヤ人だったという」
「本当なのか?」
「たとえそれが真であったとしても、知らず知らずのうちに家臣にしていた。杉原殿のように、最初からユダヤ人を保護する目的ではなかった!」
「我々アメリカ人は、ユダヤ人の国家であるイスラエルを応援している。どうか、協力してくれないか?」
「そうと決まれば、早速大統領官邸へ!」
「え?」
信長は結局、アメリカの大統領に出会うことになった。
「日本を代表する、英雄なのか?まあ日本代表の織田信長と申す」
「先ほどこんな話を耳にしたんです。信長、つまりあなたは人間だった頃にユダヤ人を保護したとかいう説があると」
「それで?」
「イスラエルとパレスチナが争っているのはご存知ですか?」
「それはなんとなく」
「この国は、イスラエル側を応援している。ゆえにユダヤ人を保護していたあなたがこちらに取り入ってくれれば、エルサレム問題は早く解決することができましょう」
「宗教問題なのだな。わしが人間だった頃は、仏教徒が一向一揆なるものを起こして大変だった。宗教問題をよく知るわしがイスラエルの仲間になれば、その問題を解決することができるのか」
信長は杉原から電話を受けた。
「信長殿!イスラエル側につくということは本当ですか?」
「米大統領にお願いされたゆえな。日本の英雄の力見せてやろう!」
「そうですね」
真奈美は困っていた。
「私はイスラエルとパレスチナの問題について中立でありたかったのに、信長や杉原はイスラエルを応援している。私自身は中立だけど、その部下たちは自由ということにしとくか」
ウォーメット共和国 REPUBLIC OF WARMET 齋藤景広 @kghr
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