第三十八話 結婚しよう

 この日は客もいるというのに、身体を朝まで求め合い、レゼンは急いでシャワーを浴びてエドゥアルドに会うことになり、腰の怠いまま街を見て回れば、ぐったりと、ベッドに飛び込んだ。

 フロデルとラフォンは、トバックといるのが楽しいようで、街の視察にはついてくることはなく、城でゆっくりしていただろう。

 自分もゆっくりしたい、と思いながら日程をこなし、エドゥアルドから、

「国交を結ばないかね」

 昼食の席で言われて、レゼンは目を見開いた。

「しかし、私たちは不義理を働いた身です。そんな」

「あの米の味が忘れられなくてな。議会の中の財産として、そちらから米を購入し、正規価格で売ってもらえないだろうか。こちらも冬の時期でなければ家畜などもいる」

 どうだろうかと言われて、レゼンは「はい」と答え、

「お願いします」

 先に承諾してしまったが今後の財産としてハルタ国でも量産できるようになればとレゼンは頷いた。

 そしてエドゥアルドが見送った夜。

「あー、つかれたぁ」

「ご苦労様」

 隣で恋人が寝ていた。

「なんで来ちゃうんだよ」

「なんで来ないと思ったの?」

 ふふ、とラズリルは笑い、レゼンに抱きついた。

「公務はどうしたんだよ」

「明日にでも帰るよ。流石に溜まってるかな」

「俺は何年も会えないって思ったのに」

 白い肌を撫でながらレゼンは空色の瞳を見ていた。

「今回は特別! 誰かさんのお尻が危機一髪って聞いて、ちょうどトバック兄ちゃんが帰ってきてたから一緒に来たの。でもこれからは、年単位かな」

「……ラズリル」

 レゼンが起き上がってラズリルを抱き寄せる。

「本当、今回が特別。早めに帰ってきてね」

「ああ」

「ねえ」

 ラズリルは、

「昔さ、結婚の話したじゃない」

「そういえばそうだな」

 言わんことが分かって、レゼンは抱き寄せるのを強くし、面と向かって、

「愛してる。結婚してくれ、ラズリル」

「はい、僕もレゼンを愛してるよ、結婚しよ」

 何度でも言おうね、と、ただ触れるだけのキスをした。

「明日は寝坊できるかな」

「できないが、朝、お前がいるだけで幸せだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【BL】年下の第五王子様は昔の「約束」を守りたいようですよ? 大外内あタり @O_soto_uti_ATR

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ