第2話
「ついに…ね…がん…」
「やっと…の日…」
気持ち良く眠っていたのに周りがうるさく感じる。一体何の騒ぎだと思いながら目を開けようとするが、中々開かない。
夢の中かもしれないとか考え始めたが、周りが見えなく身動きも取れない。
どうしようもないなと眠ろうとした所で、ふとトラックに轢かれた光景を思い出す。
そこから記憶が鮮明に戻り、少しずつ恐怖を感じていたらようやく目が開くようになった。
目の前が濁っているように感じ、鼻から下の感覚がない。首を動かす事が出来ず、自分の現状にゾッとし始める。
微かに聴こえてた音が明確になっていき、少しずつ把握出来るようになった所で、周りの景色が液体だと認識出来る。
俺はあの後どうなった?
何で声を出す事が出来ない?
見えるものが緑色の様な液体とガラスで囲われている事にもパニックになっていると、誰かの話し声が近づいてくる。
歩いてこっちに向かってきているのか?
そんな疑問を抱きながら正体が目の前に来るとその異形さにギョッとする。ガラス越しに見えるものは、あからさまにガイコツだからだ。
目が合った瞬間、
「既に物凄い魔力を感じる!これは、とんでもない魔王が誕生するぞ!」
と、ガイコツが大きな声を上げた。
魔王?何の冗談だと思ったが、後ろからやってきたものを見て再度ギョッとする。
鼻が長い老婆に見えるその姿は絵本やアニメでよく見る様な、正に魔女そのものだった。
「これで新たな魔王が誕生すれば魔界は安定です。お疲れ様でした。」
魔女の様なものが発した言葉を聞き、まるで夢みたいな感覚に陥っている。
目の前の2人?は、そのまま喜びながら部屋を出ていってしまう。
これは悪い夢だ。目が覚めれば現実に戻ってる。そう考えるが、はっきりと会社の出来事やトラックに轢かれた事を覚えている。
そもそも会社には行きたく無かったし、トラックに轢かれて痛みがない事も有り得ない。
それを考えるとこのまま夢の中にいたい気分だが、ガイコツと魔女しか出てこない夢はそれはそれで気味が悪いし、身体を動かせないのも
気味が悪い。
こうなった時、他の人はどうするか分からないが、何も出来ないので目を閉じたままじっとしている事にした。今は何も考えたくない。
こんな現実逃避ばかりしてしまう自分に少し嫌悪感を抱きながら少しずつ意識は遠のいていった...
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