転生したら魔王⁉︎〜討伐されない様に行動するのに何故かいつもピンチが目の前に〜

シマシマシ

第1話 

 朝の6時30分。

 いつもならまだ寝ている時間に起床し公園のベンチに腰掛けながらボーとしている。

 俺、真尾 呼人(まお よぶと)は今日ほど会社に行きたくないと思った事はない。


 高卒で入社してから10年、自分なりに一生懸命頑張っていたが、昨日の午前に仕事のミスが発覚。一緒にやっていた後輩の初歩的なミスだった。忙しさと、簡単な仕事だからミスをする事はないと油断していた事が原因だ。

 午後は、上司に呼び出され会議という名の説教で時間が過ぎた。

 頭が真っ白になり内容をほとんど覚えていないが、終わってからは始末書と反省文の作成。 後輩が泣きながら謝っていたいたのは覚えている。


 帰宅後、後悔しながら夕食を食べていると仲の良い先輩から連絡があり、今回の件は俺1人の問題で片付けようとしているらしいとの事。

 理由は良くあるもので、後輩がお偉いさんの親戚らしく、出世やその他もろもろ、後は上司に俺があまり好かれていなかった為。

 そこからは絶望感が半端なく、疲れているのに眠れないまま、この時間を迎えてしまった。


 昨日の事を考えているうちに、時間は7時を過ぎていた。

 そろそろ出ないと遅刻になってしまうのだが、足が思う様に動かない。逃げ出したと思われるかもしれない等、ネガティブな事を考えてるうちに時間は過ぎて、7時30分になってしまった。

 夏休み中の小学生達も集まり、保護者の目線も大分痛くなってきたところで、決意をしてベンチから立ち上がる。

 こんなに1分1秒が早く感じるのに足取りは重く、いつもの駅まで全く近付く気がしない。

 住宅街を抜け出す直前、ふと公園側に目を向けると、1人の男の子がボールを持ったまま走っているのを見つける。

 転んだ表紙にボールが転がり、泣きながら車道に飛び出した。まさかと思った瞬間、クラクションを鳴らしながら走ってくるトラックを見つける。

 それまで重かった足取りは嘘の様に軽くなり、気付いた時には飛び出している自分がいた。後は、「ドンっ」という激しい音と、感じた事のない衝撃で身体が吹っ飛び、視線は空に向けられていた。


 意識が朦朧としているお陰か、たいした痛みを感じる事はなく、騒がしくなっていく喧騒もあまり耳に入ってこない。

 ぼんやりと泣いている男の子が目に入り、ホッとする。このまま目を瞑れば嫌な現実もなくなる様な気がする。

 この出来事が今日という日に起こって良かったと思いながら、意識は無くなっていた…

 

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