第3話 クリスマスプレゼント

 ザ、クリスマスプレゼントといった感じの包装紙に、ザ、クリスマスプレゼントといった具合のリボンがついており、ザ...


 添えられた手紙にはこう書かれてあった。


 「万次郎へ。部屋で開けてね。」


 いったい誰からのものだろうか。妹からだろうか。親からだろうか。まあとりあえず自室で開けてみるとしよう。

 

 とたん思考が停止する。

 そうだ。言い忘れていたじゃないか。


 「ただいま!」


 俺はそう言って家族の返事を待つ。

 だが、一向に自身の鼓膜が波を生じさせないので、俺は思わず言い放つ。


 「ここには誰もいないのか!いるのなら返事をしてくれ!」


 シーン


 そうか。俺しかいないのか。胸を撫で下ろし、リビングのドアを開ける。


 そこにいたのは我が妹、ジェーン千次楼であった。齢14にして俺を無視とはいい度胸だ。ここは一つ説教をしてやろう。


 「おい!千次楼!俺を無視するとは何事だ!」


 「ん?」


 「舐めてんのか!」


 「ちょっと待ってね.....何?」


 「え?いや。舐めてんのか!」


 「ああごめん無視してた?爆弾型イヤホンで

音楽聴いてたから聞こえなかったわ。これ爆発の音で周りの音がえげつないぐらいかき消されるでな。」


 なるほど...俺を意図的に無視していたわけではないんだな。いい妹だ。


 「兄ちゃんにプレゼント置いてるから、部屋で開けてよね。」


 「なんていい妹なんだ!一回ぐらいなら殴っていいぞ!」





 顔面を殴らなくてもいいじゃないか。しかも全力で殴りやがってクソ妹が。


 とはいいつつも、リボンを解く。


 「爆弾型イヤホンver0.1」


 中には妹がつけていたであろうイヤホンが入っていた。取り敢えずつけてみるとかなり心地がいい。天にも昇る快感だ。

 

 まずは説明書を読もう。なになに...?


 「着用の際は必ず安全装置を付けてください。」


 万次郎はそれを読む間もなく爆死した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

始めよう hamazen @hamazen

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る