第2話 悲劇

 汁物は普段から鍋をコトコト言わせていたが、死んだと同時に中の具材がこぼれ落ちた。


 ワニ革、しゃけフレーク。そして、桜が舞い散った。


 人は死ぬ間際、先立った知人があの世へ案内してくれるそうだ。しかし、桜の花弁がマッハ10で知人に突き刺さる。


 知人は2度目の死を迎えた。


 クラス中がざわめく。皆何が起こったのか分からないのだ。自身の魅力がなければ、俺すらも

理解できなかっただろう。


「何やってんだよ!!!!」


 突然誰かに殴られた。痛みで涙が出るのを必死に我慢した。


(痛い...だが、ここで泣いては...いや泣いてもいいか!泣こう!)


 教室中に俺の情けない泣き声が響き渡る。やがて涙が枯れると、俺を殴った犯人が目の前に立っていた。


 その犯人こそ乙女坂サチコであった。


 「なんで泣かねえんだよ!友死んでんだぞ!泣けよ....いやでもお前さっき泣いたか!もう帰っていいぞ。」


 そして帰宅した俺に待ち構えていたのは、クリスマスプレゼントであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る