第48話「魑魅魍魎」

「白瀬よ」

「なんでしょう、かりそめの紳士さん」

「おおーおおーご挨拶だね、無頓着な海坊主よ」

「なんですか、張り合わないでください、むしろ救いのない名前つけないでください」

「はは、私の完璧なネーミングセンスにおののくといい、しかと目にしよ。この私をな」

「いえ。対して感極まってないですけど、ただ変だなーって思いました」

「なな、失礼なやつだ、これでは新種の生物に顔向けできんな」

「なに言ってるんですか?また古来からやり直してきたらどうですかね」

「はは、すでに私の脳は常軌を逸してる、つまり全知学を満了しているのさ」

「なるほど、やはりそこ抜けた男気ですね、もはや暑いですよ、せんせい」

「はは、この寒暖差、やはり、ずば抜けているだろ、裁量を天変地異すら凌駕する、これは完璧というにふさわしいだろ、ははは」

「先生、とりあえず、ご飯食べましょう」

「おおーおおーご挨拶だね、ありがとう」

「なんですかきょとんとして。」

「事実腹が減っていたからな、豊満な態度になってしまった」

「では喫茶店へ行きますか」

「外に行くのか外に。。。」

「ええ、何か不心得でもあるのですか」

「はは、なにを言う、恐怖など微塵もない、いくか白瀬よ」

「ええせんせ」


そして二人は本当に外に出た。

そしてその後起こったことは後にかたられることなく、

終わったのだった。


「先生、生きてますか」

「す、すまない、あまりにも太陽がまぶしくてな、北風と太陽を思い出した」

「またそうのように、ないことあること、織り交ぜて現実を浸食しないでください」

「はは、すまない、しかし喉が渇いたな」

「喫茶店に行くんです、少し我慢してください」

「まったく、目先の幸福に目を向けてくれ」

「でも、楽あれば苦ありですよ、これを超えてアイスフロートでも食べましょ」

「なんだその幾何学のうまそうなものは」

「あーアイスとコーヒーとホイップがまざった、最高にきてるたべものですよ」

「そうか、楽しみだ、よしもっと苦労して、よりよく頂こう」

「そうですねー、でもなにをするんですか」

「そうだな、歩きながらできることだろ、そうだな、平和について論議しようではないか」

「論議も論議で苦難ですかね、本当に、」

「いやそうだね、確かに論破大好き少女に比べれば、これは楽に値するな」

「だれですかそれ」

「はは、アニメだよ、アニメ」

「先生ってやっぱり現実とファンタジーの区別ついてないですよね」

「だとしても、苦労してはいない、むしろ高揚しているよ」

「いえ、それは危険だと思いますよ」

「なぜだね、夢ある子は最高に最高だろ」

「ですが、それだと現実性にかけて、ゆくゆくは困り果てるとおもいますよ」

「なにを言ってる、私に限ってそのようなことあるわけないだろ」

「ですが、どうでしょう、理を軽視すれば痛い目をみますからね。後悔してからでは遅いのです」

「はは、奥目ないね君は。相変わらず言質をとって、相手の不安をあおるなど、抜け目ない素面かね、君は」

「ええ、そうですね、そのようにあやかった言葉から推察されるのは、話を聞いていないという、漠然とした悲嘆ですからね、」

「だとしても打ち負かすのは私の方だ、君はあくまで、対等に言い張れない、事実無駄のサイドリーガーだよ」

「そのようにして、言葉を再建して、それがリアルへの代弁になるとお思いなんですかね」

「ああ、私はね、常に己を最難関においている、故に知見も見識もそれに至る、感慨まで、ありありを踏破している、ゆえにおそれることはないね」

「いいですよもー」

「はは、へそを曲げても、勝てはせんぞ」

「いいですから、もう態度で言いますから」

「はは、実直で健気だね、話を投げれば、世界が聞いてくれるとでも?ここは相変わらずの貧民から猛猟まで至るものがいる、転変返せる世界だぞ」

「そうですか、だったら私も金棒もって出向きますかね」

「はは、面白い、ならば泣いた赤鬼に青い鬼は失意を呈して救うのだろうね、読めた読めた退屈しないね君はほんとに」

「ええ、せんせ、でも、悲しむものが居れば、偽れない情をお持ちの人も居るんですよ」

「だとすれば、異端極まりないこの私に、せめて世界の広さを教えてくれよ、面々の数々をおいてね」

「ええ、わかりました、では行きますよ喫茶店」

「おお、行こうか、君のオーダーが世界を揺るがすのも時間の問題かもしれんな」

「ええ。そうですね、たぶん至る所、魍魎が迫るでしょうね」

「はは、ならば、それにして過分ないね。行こうか」

「ええ、せんせ」

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