第17話 見上げた空の向こう
今夜はピンクムーンだとニュースで騒いでいる。
愛は、夜空を見上げた。
ひと際大きな今夜の月は、私を温かく見守っている。
夜風はすこし冷たいが、逆に心地よい。
あれからもう幾星霜過ぎただろう。
愛は、か弱い女の子から素敵な女性へと成長した。
あの頃の出来事は、決して忘れる事はない。
――今夜は母たちの月命日――
この空の向こうから私を護ってくれているのだろう。
愛の手首にはブレスレットがしてある。
珠恵が作ってくれたブレスレットだ。
大漁丸は、ブレスレットとネックレスへと生まれ変わった。
愛の宝物だ。
今でもおばさん、おじさんや優花たちとは賑やかに過ごしている。
かけがえのない人たち。
優花は、高校の音楽の教師となった。
みんなそれぞれに時を重ねた。
――今夜は夜勤だわ。急がなきゃ……――
愛は思う所があって、あれから看護師の道を選んだ。
途中からの進路変更は平坦な道ではなかったが愛はやり切った。
今、私たちの地球は自然災害や戦争、誰もがいつ巻き込まれるか
わからない世の中になってきている。
母さんたちがくれた、『愛』の名前。
誰かの愛になれるよう、私は生きていく。
震災は私の人生を大きく変えた。
悲観的になる時期もあった。
それでも、私を支えてくれる数多くの人がいた。
嘆く暇はない。
この出来事がなければ、気付けなかった事もあったと思う。
傷だらけの心は、何かを意味している。
今夜も、救急救命センターへと向かった。
私を待つ人のために。
救急車の赤いランプが、あの日を想い出される。
私は、自分の生きる意味をこれからも探し続けるだろう。
漆黒の夜空に生える今夜の月をもう一度見上げ、
愛は歩んでいった。
……追記……
震災のあと向かった先には、見慣れた景色はありませんでした。
失くして初めて知る、今までの生活。
義父は、震災後に体調を崩し亡くなりました。
この世の中に、たくさんの愛ちゃんがいます。
みんな、懸命に生きています。
いまも、至る所で災害が起きています。
どうか、今を大切に生きて下さい。
潮騒の家族 @Sumiyoshi
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