第13話 チャモロの島
――青い空がこんなにも眩しいなんて――
飛行機の窓を覗くと下には真綿のような雲が浮かんでいる。
三人は、愛の母親である夏海が最後まで乗っていた漁船「大漁丸」に逢いに
グアムへと旅立っていた。
外を眺めていた時男が不意に、
「愛ちゃん、このグアムという島は今は観光で賑わう場所だけれど
昔、戦争で日本人やアメリカ人、そして現地の人たちも大勢亡くなった
土地でもあるんだよ」
「へえ、しらなかった」
「現地の人はチャモロ族といってね、とても誇り高い民族なんだ。
実はね、今回の旅で私の知り合いの日本人の人に現地を少し案内して
もらうことにしてあるんだ。愛ちゃんに是非逢わせたいと思っている」
「時男おじさん、グアムにも知り合いがいるの?」
「ああ。同じ会社で働いていた女性の方なんだけど、グアムの人と結婚したんだ。
歳はまだ20代だよ。きっと気が合うと思うな」
飛行機が滑走路にスムーズに着陸し、三人が空港の到着ロビーに行くと
既に時男の知り合いが手作りの『ウェルカム!』と書かれた旗をもって待っていた。
「部長、お久しぶりです!ようこそ、グアムへ!」
日焼けした顔から健康的な白い歯から笑みが零れる。
「紹介するよ。こちらは珠恵さん。こちらに居るのは、姪の愛ちゃんだ」
愛は、珠恵のパワーに圧倒されていた。
すこし戸惑っている愛をみて、珠恵はいきなりギュッとハグをした。
「愛ちゃん!初めまして。これからどうぞよろしくね」
「……あ…は、はい。こちらこそよろしくおねがいします」
「フライトで緊張して疲れたでしょう?もしよかったら、この近くに
私の友人のレストランがあるの。そこで美味しいアサイボウルを頂きましょうよ」
「それはいいな。愛も千賀子も疲れただろうからそこで一旦休もう」
千賀子は大喜びだ。愛はアサイボウルが何物なのかもしらない。
愛は空港から外に出ると、眼前まで迫って来る青い空を見上げ深呼吸した。
母である夏海が最後に乗っていたであろう船がこのグアムにある。
母さん、待っていてね。
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