vsダークライ
――
よって、
能力を
「……それほど堂々と単騎で
「それとも捨て石となって、命を捨てて突っ込んできたとでも言いたいか?そんな
「『ホルダー』の群れる場所なぞ、権力をもって!……潰さねばならんよなぁ?当たり前だろそんなのっ!!」旋回する羽付き達へとサインを出す。「行ってこい強行偵察!頭の不自由な貴族のお坊っちゃんなど、このバロン=ポテトが有効に使って捨て駒にする!」
部下は思わず、バロンの
「二対一で仕掛けるぞ!『サンダーブラストフォーメーション』だ!」「了解!」
急降下する片割れと
「フハハ、雷破閃刃。【
「『
「【ライトニ……】」稲妻の如き
「『
二つになった片翼の比翼たちが断面より臓物ばら撒き、
「んむぅ、その判断は正しいぞお、
「――ただし、私の命令前に逃げたのだから敵前逃亡で死罪だ!私を殺すか国境に向かわねばならん事が、
「しかぁしっ!!」ハハハと高らかに笑った。「『カウンタースキル』とは直接の害意を向けられずとも、発動するものなのかなぁ!?」相対的な暴風
「『変性せよ魔力。
「その場で
両者のド真ん中に出現した火球が、即座に爆裂した。散弾と化した炎上油脂が、
――
「おおっと!通常の武器ともなるか。だが遅い!!」鋭角機動で避けるバロン=ポテトにも降りかかる炎の散弾は、寸前で力を失い、自由落下する炎の雫となる。間違いなく超常の力が働いている。――嫌な笑顔で、ニカッとする。「ははぁん?」
「守っているなぁ!?」そのまま急降下ですれ違い、街並みにバロンダイブする。「どこだぁ?アミュレット。迎撃位置より遠くには行っていまい!」
「あわよくば、ということよ。瞬時の判断は天才である私が決める!ハゲタカになるんだ!」
◇
ウザ絡み。静寂を好む人間にとって、これほど相手を蹴飛ばしたくなる事柄は他にない。(タスケテー)赤ローブの眼鏡少女は切田くんにとって、そんな
(ボケたがりで絡んでくる人って、決して自分がツッコミに回ったりはしないんだよな。…僕なんてボケもツッコミも
(こうなったらガン無視で、この人を振り切って強引にでも、…いや、いくらなんでも
「ふむ。確かに先程聞いたでござる」
「家族計画もしている」
「ははぁ、ずいぶんと詰めてくる彼女さんでゴザルな。…お
「いや、どう考えたって嫌ではないでしょ」「…はぁ?死ねば?」黒縁メガネをずらし、睨まれる。(チクチク言葉やめて)
赤目の少女は素早く眼鏡を掛け直して、グヘヘと笑った。「お
黒縁のメガネ越しに、ニチャァ、と笑う。「キルタ氏キルタ氏〜。要はこのバチバチにイケてる
「いや、しかし、ここまでお美しい
東堂さんが
「だから類くんが、私の見てくれを好きだと言ってくれている今のうちに。私たちは
切田くんはなんと言っていいのか、なんと言えばいいのか分からなくなる。(黙っとこ)一見クールだ。
「キルタ氏はメンクイでござるなぁ〜」
「ではキルタ氏。ここは
「やれやれ。キルタ氏はホ〜ントわかってないでござるなぁ。物事には何事にも、都合というものがあると言うのに…」萌え袖両腕を半端に上げて、嫌味な顔で首を振る。やれやれポーズだ。(ムキー!)超ムカつく。
「……言って」
「『君だけだよ』的なこと、言って。恋愛小説みたいに」東堂さんが真剣に詰める。「へぁ、…じゃないでしょ?もっと真面目にやって」(わぁ理不尽〜)「類くんは、私をもっと甘やかすべきだわ。今の私には砂糖の甘さが足りないの。あなたのお陰で、こっちに来てからすっかり甘党なの」
「……そういうの、昔と違って好きになったって。味覚が変わったって。……前に、類くんにそう言ったよね?」めっちゃ詰めてくる。「はっきり言ったよね?」
「忘れちゃった?そんな昔のこと」……剣呑な雰囲気、と言うにはダバダバした波動。空虚な目なのかグルグル目なのかもうわかんない。「今まで類くんが私にしてきた
「いえ、そこまでは言ってないです。しても許す的なニュアンスでは…」「
「
「……さっきから何?あなたに名前を呼ばれる筋合いなんてないのだけれど」
「ただの呼び分けでござるよ。要はこのしと、照れてるんでござる。テレリコのリコでござるよ。かわいいでござるね〜。…ふむぅ、これはこれで…」
「……照れているの?類くん……」
「ち、違いま」「ほ〜ら、図星でござろ。大金星」「ちゃんと答えて」
「顔見りゃ本音なんてすぐわかるでござるよ。んー。顔面が見えないでござるねぇ」
両手を伸ばす黒縁メガネが顔を曇らせ、
「……敵。真上からくる」
(……ぐっ……)分断された雑な空気。急速に
(見せてくれないのなら、僕だって手の内を見せませんよ!)手にした
◇
四角い空を鋭角に切り裂き、「見つけたぞぉっ!!アミュレットォ!!」――ターゲットインサイト。バロン=ポテトが屋上の陰より捻じり込んでくる。そして、「うおおっっっ!!?」不自然な急制動によって、
地上に
地上とバロンとの間には、細長い光の糸が何重にも
「……
切田くんの『マジックストリング』は『マジックボルト』を細長く伸ばした
「私のスキル『
背後より、光の鞭が
「バイバイだっ!!」鋭角かつ素早い機動で
「もゆもゆ、敵は?」急降下から一転、スタンと華麗に着地したラキコが、「…ふむぅ、やれやれ、酷い目にあったでござるよ…」建物の陰より
「フフ。最後危なかったね〜。やるじゃない覆面くん」長身女性が息を
……そして彼女は、三人や周囲の様子を、なんだか不安げに
切田くんは、めっちゃ気まずい。「見てません」
「……え?」
「見てないです」
「なにも?」
「なにも」
「……あんなに一生懸命にバトルしたのに?……そりゃあ、私は無敵だけれど。それでも君らにアピールするために、こうやって命まで
「最後の所でしたら。敵が上から突っ込んできて…」「
「すみません」切田くんが言う。
「…ごめんなさい」緋村もゆが言う。
「ごめん、類くん」東堂さんが言う。
「君らねぇ…」
――「あーっ!!」そして奇声気味に髪をくしゃくしゃ宙を見上げて、……すぐに向き直って
「私こそゴメン!!」パチンと、ラキコは
「私たち『パトリオッタ』は、君らのことを都合良く利用しようとしか思ってない。ゴメンね?」(お、おう)「はぁ」目をぱちくりさせる。切田くんにとっては今更の話だ。(正直ですね?)
「私個人を信じてくれたとしても、私の知らない思惑が絡めば、もしかしたら君らは『酷い目』にも合うかもしれない」
「そうでしょうね」スン…としている覆面少年を見やり、少し黙り込んで変な顔をして、――そして、ラキコは晴れ晴れとした顔で背伸びをした。
「はぁ〜。やっと言えた。こういうの黙ってるのって、ホント良くないよね」肩をクルクルしている。「態度にもすっかり出てしまって、ギクシャクしちゃうしさ。そうは思わなかった?」(…まあ、ストレスには良くないでしょうね…)「組織とは別に、私人としては仲良くもしたかったけれど」ラキコは
「どう?それでも一緒に来る?」
(…今はとにかく、呪いのアミュレットを手放さないと。…この国には、飛行する魔術師が思ったより多い。軍用ヘリまである…)いくら『ガラス玉』を使って空を飛んだところで、こちらには体力的な航続距離の限界がある。必ず追いつかれてしまう。(目印を持ったまま、逃げ切れると思わないほうがいい)
東堂さんをちらりと見ると、――彼女はコクリと
切田くんは
「……行きますよ」
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