エンジョイする人々
「……はい?」
(……って、……
「……ぐっ……」
「……ねぇ、ルイくん。……怒った?」ブリギッテは立ち上がり、大きなお
少し
「あなたは僕の命を
「……そうね。ごめんね?ルイくん」「
「あなたのお腹に入れたのはこれよ」ガチャガチャ混み合うポーチから、小さな緑色の宝石を取り出す。――それ自体が
「『超高圧魔力爆石』。爆発とともに自らの破片を
「…なんです」
「私が作ったの。ひとつあげる」
「…どうも」
「…うん。そうね?…そう」
「…うふふ…君の言うとおり…」――
「あなたの命…
◇
(
実力では
(見返すことも、…東堂さんのことも…)ふと、光景がよぎる。――熱い感情の
……意志の力が
(まだ僕が死んだわけでも、動けなくなったわけでもない。とにかく
「……」『魔女』は
――『精神力回復』にコントロールされた昏い感情が、
(彼女も同様に、スキル効果への
(…つまり、ここまでしたのにブリギッテさんは…)
(
ブリギッテはあからさまにホッとした。「大丈夫よルイくん。
「だから決して自分でえぐり出そうとしないで。そんな
「私をなんとかしようとしないでね?…だって、そんな関係
「そして、このことは誰にも言わないで。ふたりだけの秘密にしたいの…」
「…どう?」
(①えぐり出さない。②
「……」少年を眺める
――そんなことを言われた所で、心の中では
「あなたは私に
(
「……ねぇ、ルイくん。……私、
「富は?
「名誉は、…別にいらないよね?
「戦うための知識や力は?もちろん必要だよね」
「……私は?……いらない?」ひとつひとつの反応を、彼女はじっと覗き込んでいる。
(うぅっ…)切田くんはすっかり心を読まれた気がして、たじろいだ。
「うふふ…」
「ルイくんの
「…ねぇ…
「…昼も夜もわからないぐらいに、何度も、何度でも」
「…心の熱も…体の熱も…
丸みをなぞり、(……ふくらみが大きく
「本当は、ルイくんも、そうしたいんでしょう?」
「うふふ。…
奥底を覗き込んだまま、ゆらゆらと夜魔が近づく。
「……
……吸い込まれる。
「……うふふ。捕まえたよ?ルイくん……」
「……大丈夫。……安心して……」
「……そう。……それでいいの……」
「……ルイくん?……ルイくん……」焼き切れた
「……さあ、見せて?……
「……見せ合いましょう?……」
「……ずっと
「……ね?……いいよね?……ルイくん……」
夢うつつの意識を、
(……なんだっけ……なんで駄目なんだっけ……)
「……
◇
「誰っ!?」
突如
魔法の
長身で
腰に
「……ふぅ……どうやらやっと、頭がスッキリしてきたぞ。キルタ……」夜に浮かぶ、
「…ダズエルの『アイアンフェイス』を
「…すごいものだ。お前の
「…まあ、
「……ところで……」――
(……はぁ?)切田くんは
「
――
「クズが!!」
……突然、生気のない顔に戻って、ボソボソと言った。「…気にするな、キルタ…」
「…えぇ…?」なんじゃいな。思わず
「…こうして、感情のあるふりでもしないと、なにか
「…まぁ、
「…どこに行くんです。そんな怪我で」「…怪我…?」首の後ろに手を当てる。……ドロリと液体が吹き出した。「…まあ、こんなの気にするな。
「…なぁんてな。…冗談だ。…
(…でも、…何だ?…
「…そうはいかないさ。俺はお前より、先に
「どうして」「…
(…だっ、駄目だ。…嫌な予感が…消えないっ!?)
「…裏切りの…報告だ」
――そして、
「言ぃ〜ってやろ、言ってやろ。カ〜シラ〜に〜言ってやろ!!」死に顔満面に
「
……思わす
◇
(……?)切田くんは
「えっ…」
「…ま、待って!!」走り出す背中に
「…っ…!」ブリギッテはその表情に、
切田くんの
「…待って、ルイくん……爆弾の話は?私との
「……だってほら、ねぇ?……熱の交換とか……これからの事だって……」
「…どうして、…どうしてこうなってしまうの…」彼女は立ちすくみ、ふたりの去った闇の
……突然、ガタガタと
「誰っ!?」
――悪夢の光景。あるいは
そして、ひとりだけ身なりの良い、脇腹から飾り剣を生やした男。「特務騎士ハインツ…!?」『イヒッ…イヒイ!少年!しょうねーん!』
『…あ、どもー。魔女さん、おつかれーっす…』続いて、肩を吹き飛ばされた副長が、他の盗賊たちがヨロヨロと立ち上がり、話しかけてくる。『おちゃーっす…』『うぇーい。うへへ…』
「…はぁ?」生気のない表情。
『魔女さんから行っちゃうんすかぁ?前からめっちゃめちゃうまそうだと思ってましたぁ!』ゲヘゲヘ下品に笑う者。……『えぇ…?』しかし
『少年を殺すのが先だろ?そんな
「ちょっと待ちなさい!……何?……あんたたち!?何なの!?」
『サーセン魔女さん!別任務っす!ほら隊長。この
『つか離されてません?俺ら』『やばいって!』『やっべ!走れ、走れ!』『なんか楽しいこれ!ヘーイ!』『しょねーん!イヒャヒャヒャ!!』
『隊長!行きますよ!さあ、立って走って!!』『本当に大丈夫なのかよぉ!?』ブリギッテなどに目もくれずに、死体たちはバタバタと走り出した。……最後の一人が立ち止まる。『…一緒に行きます?』
「…だ、誰がっ!!」『ウェーイ』瞬時に走り出す。「…はぁっ!?」
ブラブラしていた腕がちぎれ、
「……何なの」
ブリギッテは
「…ほんっと、なんなのよ…」
「……ルイくん……」パスンと
地面のちぎれ落ちた誰かの腕は、しばらくピクピクと動いていたが、――やがて、静かに動きを止めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます