悪夢を見せる力、という設定に惹かれて読み始めました。
けれど読み進めるほどに、この作品の怖さは超常的な力そのものではなく、その力を必要としてしまう人間の心にあるのだと感じました。
誰かに悪夢を見せたいほどの怒り。
復讐を願わずにはいられない痛み。
けれど、その願いを叶えた先に、本当に救いがあるのか。
依頼人の抱える事情は重く、簡単に善悪で割り切れるものではありません。だからこそ、読んでいて何度も立ち止まって考えさせられました。
また、朝日と旭の軽口や距離感がとても魅力的で、重い題材の中にも読み進めやすさがあります。二人がただの正義の味方ではなく、危うさや優しさを同時に抱えているところも印象的でした。
悪夢を作る物語でありながら、描かれているのは人が何に縋り、何を憎み、何を見ないまま生きてしまうのかという、とても生々しい人間の物語だと思います。
ここまででも強く印象に残る物語でした。
この先があるなら、またぜひ読んでみたいです。