第2話
「わ、わああああああーー!?」
夢から覚めると頭には残酷さだけが残った。
これが現実なのか、夢なのかという区別もつかなくなってくる。
スマホを見ると時刻は朝の5時4分。だけど俺は首をかしげた。
その理由は11月23日という日付にある。俺は何かこの数字に見覚えがあった。
そして俺はある人に言われた事を思い出す。
『ハチ公像前集合…』
俺は夢の冬華さんにこんな事を言われた気がする。もし今日見た夢が本当だったとしたら、彼女はその場所にいると言う事になる。
俺は試しに昨日のテレビの番組表を見てみた。
そして、俺は勘づいてしまった。
『同じ時を繰り返していると言う事を』
11月23日の昨日の番組表を確認して俺は高崎が言っていた例のアニメを見つけてしまったのだ。
「行ってみるしかないよな…」
もしかしたら俺の勘違いかもしれない。でももしこれが本当だったならとんでもない事になっている。その答え合わせをしに俺は学校を休み、待ち合わせの場所に行く事を決意した。俺は一応制服に着替えて例の場所に向かう。
そして俺は電車を飛ばし、ハチ公像前に到着したがそこにはやっぱり冬華さんの何者もいなかった。
「馬鹿馬鹿しい。」
やっぱり同じ日を繰り返していると言う事も冬華さんに出会った事も全て架空の事に過ぎなかったのかもしれない。そもそも冬華さんという人物がいるのかどうかも怪しくなってきた。でも俺はあの時確かに冬華さんに出会った事を深く記憶している。とてもリアルでまるで現実にいるような感覚だった。これは俺が神様にみせた幻とでも言うのか。その呆れた思いで俺は急いで学校へと、足を走らせようとした。その時だった。
肩をがっしり掴まれたような感覚だった。
「はあ…はあ…はあ…れ、玲くん待って!」
彼女は実在した。
「な、なんで、冬華さんが…」
「なんでって、夢の中で言ったでしょ…ハチ公像前に来てって。ちゃんと来てくれてよかった…」彼女は安心した顔をしてこう言った
「あの夢はやっぱり本当だったん…ですね…」
「そうなんだ…私は1ヶ月はこの現象に悩まさられてる。あと、11月23日は 実は今日が4度目なんだ…」
「え?それって…」
「とりあえず店寄らない?詳しい話はそれから。」
彼女はにっこりとした笑顔を見せ、俺たちは店に向かい、歩いた。
「灯り待ち?」
その店はあまりにも路地裏の分かりづらい所に開店されており、思わず店の名前を口に出してしまった。
「ほのかまち。ともりまちって書いて、灯り待ちって読むの。」
「なぜこのカフェを?」
「好きなんだ。こうゆうカフェが。誰にも見られなくて、静かで穏やかな感じが。」
彼女は照れた表情で言った。
「あと、今更だけどタメ語でいいよ!お互い同い年なはずだし!」
「分かりました。じゃなくて…わかった!」
彼女と俺は穏やかな雰囲気のカフェに腰をかけ座った。
「カフェオレで。玲くんは何にする?」
「あ、じゃあオレンジジュースで」
「かしこまりました。カフェオレ1つと、オレンジジュース1つですね。」
店員は注文を聞くとその場を去った。床の木材をきしまさせるように。
「じゃあ何から話そうか…とりあえず夢の中で死んだらどうなるかの話からしようかな」
彼女は表情を改めて俺の顔を睨みつけるようにこちらを見た。
「一言で言うと、あの夢の中で死ぬと同じ日に戻されるの」
「え?どうゆうことっすか…」
「逆にその夢の中で生きていればその日を無事乗り越える事ができるの。でもどんなに頑張っても11月23日は乗り越えられない…だって、毎日3時間も持たずに殺されちゃうから…」
「そうなんですね…」
「最初は楽しかった。退屈な夢の中で現実にいるような感覚に味わえて、新たな世界に足を踏み入れられたの。だけどその楽しみは一瞬にして私から消えてってさ、今は死ぬことが、時を繰り返す事が怖い」
「……」
「私さ、夢があるんだ。子供の頃からなりたかった漫画家になりたい。まあでも才能なんてないから新人賞の1次通過すらできないんだけどさ…でも、その悪夢に漫画家になる夢を妨害されたくない。だからなんとしても私はこの悪夢から生き残りたいの」
なんて強気なのだろうか。4回も死んでそれでも折れなくて、。俺なんてもう正直を言うと怖すぎて寝るのを身体が拒否している。ただ“死にたくない”という事が理由で。
「12月20日に1年に1回の新人賞の公募があるの。これが最後のチャンスだって思ってる。私はどうしてもこの賞を取りたい。だから私は悪夢を生き残ってその期間内に書き上げる」
「かっこよすぎるよ…」
「え?」
「かっこよすぎるよ…俺なんてさ、夢の中ですらただ死にたくないだけの理由でビビって、今もあの夢をもう1回見たくないとも思っちゃてるんだよ…だけど君はなんで?そんなに?…」
俺は彼女に正直な思いを告げた。今にでも逃げ出したい。その一方で冬華さんは俺よりも圧倒的に勇敢だ。
「私が守る」
「え?」
「私が守るよ。だから、この件に協力してほしい。私は1分でも早く“11月24日”に行きたいの」
「……はあ。やっぱ俺だせえな」
「まあ、それは言えてる」
彼女は軽く微笑み、俺のそばに手を出した。
「じゃあまずは作戦会議から!」
「おう」
僕と彼女は互いに感情をぶつけるように渾身の力で手を叩き合わせた。
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