第15話

帰還係という職業があります。


基本的の業務内容としてはハンターと共に狩りに出かけてハンターの帰還を手伝う係です。簡単な仕事と思うかもしれませんがこれが中々に大変なのです。


まず大型モンスターを運ぶための大きな板を行くときには運ばなければならず、帰るときも100キロを超える大型モンスタープラス諸々の道具も運ばなければいけません。


もちろんギルド側から”大型モンスターを運ぶとき筋力が向上する”というスキルが付与されている装備はもらえますがそれでも重いものは重いのです。


そして少し経験を積んだ帰還係になってくるとハンターと専属契約というものを結びます。


専属契約とは年単位で契約するもので、一度その契約を結ぶとハンターから毎月一定の給金をもらうことができます。


専属契約を結ぶこと、それが一人前の帰還係だという証明なのです。


ですが、私はまだその契約を結べていません。それは私の力がまだ弱く、見た目も幼いため頼りなく見えてしまうせいでしょう。


だから………

「レータってさ、もう契約結べた?」

「ん、いやまだ、かな」

「いやぁ早く結んだ方がいいよぉ、定期収入になるから」

こうやって同業者にアドバイス風自慢をされることがとても多いです。


本当にむかつきます。私のことを気遣っているように見せかけながら自慢する必要ありますかね?普通に言えばいいじゃないですか。


と、怒ってはいますが契約をしていない私は言い返すことができません。ただ苦笑いするしかないのです。


「けど難しいよねぇ、まず自分を雇ってくれる人を見つけないといけないからねぇ、放浪人は」

………こいつ、契約を結んでもらったのは最近のくせしてよくもまぁここまで大口を叩けますね。


叩き潰しますよ?


「………そうなんだよねぇ、大変なんだよ」

けどだめ叩き潰すのは我慢よ。レータ、あなたはできる子なんだから。

「ま、レータにもきっといい人が見つかるよ、じゃねー」

「………じゃあねー」

もう二度とその面見せんなよクソあばずれが。


ですが、彼女が言っていたのは事実ではあります。早く一人前の帰還係にならないと一人で生きていけません。今はまだ親がお金を出してくれてはいますが、いつ勘当されるかわかったものじゃありません。


「………ミスナさんは元気にしてるでしょうか」

ふと思い出すは初めての仕事として受けたノームジャスのクエスト、そのときの責任者であったミスナさん、彼はそのクエストで三人の新米ハンターが自分勝手な行動をして窮地に陥ったのにも関わらずノームジャスに立ち向かった勇気あるハンターです。


そしてちょろい人間でもあります、多分押せば契約を結べるでしょう。


でもそれは人の弱みに付け込んだやり方、私はそういうやり方を好みません。


「うぅでも手段を選んでいられる状況ではないですし」

むむむ、と首をうならせて今の状況を考える。


私は今のところあのミスナさんと行ったクエスト以来まともなクエストに同行した試しがありません。


とどのつまりなんの需要もない帰還係です。まぁ簡単に言うと崖っぷちというやつです。


崖に落ちきるから自分のこだわりを捨ててミスナさんと契約を結ぶか………


考えれば考えるほど選択肢は一つしかないということが露呈していきました。


「………ミスナさんごめんなさい、あなたにはにぃとらっぷを仕掛けさせていただきます」

心の中にいる架空のミスナさんに謝ってから最近ミスナさんがよく出没する訓練場に向かいました。


私はそこで自分の考えがどれほど甘かったかを思い知りました。


「………ミスナ、さん」

私の声は軽く宙に溶けていく。今の彼に私の言葉などありふれた雑音にしか聞こえないのでしょう。


「………」

彼は真剣を鞘に納めた状態で腰に携え、柄の部分に手を当てています。


私はその光景に心を惹かれました。瞬きすら忘れてしまうほどの完璧な前動作。


確信しました、ここから起こるのは今まで見たことがないような神業なのだと。


何が起こるのかまではわからない、いやそれを想像することすらおこがましいと思えてきます。私はただの傍観者、今この瞬間主人公は彼なのです。


「ふぅー」

それは一つの絵画のように美しい軌跡を描き放たれた。それはあまりに静かで、鞘から剣が抜けた音すらほとんどしなかった。お淑やかで綺麗とも思える剣はただ一心に目標に向かってひた走る。


鈍色に光る真剣は目の前に置かれた数十体にも及ぶ木人形の首を吹き飛ばした。


「っ、いたっ」

強烈な風が私の頬を裂く。普段はありえないことです、ただ方向性を持っただけの空気である風が人体に外傷を与えることなど尋常ではありません。だが事実として今私は体験しています。


常識を超えた御業だからこそできることなのでしょう。


じんわりとした痛みが残るがそれを忘れるくらいに私は彼の神業の残身に見惚れてしまったのです。


「ミス、ナさん………」

「ふぅ、ふぅふぅ、ふぅ、ん、なんだレータか」

ミスナさんは額から出る大量の汗をぬぐいながら私に寄ってきました。


「いやぁごめん全然気づかなかったや」

「い、いえ、全然大丈夫です」

いつも通りに微笑んでくれるミスナさんだけど、今の彼はやけに遠い存在のように感じてしまいました。


「訓練所に来て3か月、つい二週間前にようやく真剣を振るうことを許可されてさ、それが嬉しくってめちゃくちゃ集中して刀を振ってたみたいだな」

ミスナさんは失敗失敗と後頭部をかいて自嘲する。火照っている体からは訓練から出た汗で湿っています。


「それがさ、今までめちゃくちゃ重い剣のまがい物を振ってたおかげで真剣が軽いわ軽いわで………ってごめん、興奮して俺だけ喋ってたな」

ミスナさんは剣を愛すべきものかのようにまじまじと見つめています。


「そういやレータは俺になんか用事でもあった?」

それを言われて口を噤んでしまう、このまま私は色仕掛けを使ってミスナさんに契約を迫ってもいいのだろうかと自問自答します。


「あ、私は」

きっと今の私ではこの人には釣り合いません。あんな神業を見せられてなお色仕掛けをしようとする気は起きませんでした。


………残酷なほどに突きつけられた私とミスナさんの差、きっと今のまま専属の帰還係になったとしてもただの足手まといになるでしょう。


ミスナさんは偉大なハンターになれるであろう人だ。あの居合を一回見ただけですけどそれを確信しました。


きっと私はミスナさんを舐めていたのだ、少しだけ怠惰で優しくて、付け入る隙しかない人だったからいつの間にか勝手に親近感を持っていた。ミスナさんは同じ穴の貉だと侮っていたんです。


その認識を変えなくてはならない、ミスナさんが上級のハンターになろうとしているのなら私がそれに見合うような帰還係にならなくてはならないのです。


だから認めざるをえないような色仕掛けではなく、ミスナさんが本気で認めるような帰還係になって契約を結ぼう。もしそれで私が選ばれなくても仕方がない、それはミスナさんが決めるべきことなのだから。


うん、答えは決まりました。


「少し、狩りに出かけませんか?」

ミスナさんが私を認めてくれるように、私も頑張ろう。

「おぉ、久しぶりにいいかもな」

ミスナさんはそう言って快諾してくれました。



「んで、今日のクエストは第三級モンスター”シュイガレン”の討伐なわけだけど、なぁんでセリアまでいるんだぁ?」

「まぁまぁそうかっかしないで、夜を過ごした仲でしょ?」

「………」

久しぶりのミスナさんとの狩り、ミスナさんにいいところを見せたかったんですが、なぜか知らない人が同行する流れになってしまいました。


「あの、あなたは誰なんですか?」

「私はセリア、ミスナと一つ屋根の下で暮らしてる女です、あなたはレータさんですよね、ミスナがよく自分のことのかのようにレータさんの自慢をしてくるので知っています」

「………幼女趣味とは見損ないましたよミスナさん」

じとっとした目線をミスナさんに投げかけます。


「いやいやいや!俺セリアのために別の部屋を設けることとかできないから仕方なく同じ部屋で寝てるだけだから!ギルドに預けようとしても「それだけは絶対嫌だ!」って駄々こねるから、ほんとに、本当に!仕方なくなんだよ!」

腕を何度も振って自分は無実だと必死に弁明しています。


「ミスナのこと信頼してのことなんだけどなぁ」

セリア(メギツネ)は色目を使ってミスナさんにキュルキュルとした視線を送っています。

「………信頼ってのはなんだぁ?毎日夜出歩いて飲みに使うようなお金を渡してくれるような都合のいい人に対して使う言葉かぁ?俺が知ってる信頼とは随分違うような気がするんだが」

「………ミスナ、そうかっかしないで、可愛い少女からのお願いなんだからさっ」

セリアは両手を合わせて、可愛くウィンクしました。


外から来た異邦人のくせしてお金までせびるとは、傲慢ですね。少し我儘すぎる気がします。………初対面だはありますが私はこの子のことが少し嫌いみたいです。


「生意気な娘だ、もう絶対にあげないからな」

「そこをなんとか頼みまよ、ミスナさぁん」

「こういう時だけ敬語を使うな馬鹿」

けど多分優しいミスナさんはそうはならない、なんだかんだ許してくれて、次もまたお金をあげてしまうのでしょう。この子はその優しさに付け込んでいる。


………やっぱり、嫌いです。


「ミスナさん狩りに行きましょう、時間は有限ですから」

「お、おうそうだな行こう行こう」

「よーし出発しよ!」

「あなたが仕切らないで下さい」

「えー、レータさんなんか私に冷たくない?」

「いいえ、そんなことはありませんよ」

と、ぐだぐだしながらも私達はシュイガレン討伐に向かい出発することとなりました。


そしてその件のシュイガレンと相対することとなったのですが………


飛び出た目、荒々しく逆立っている毛皮、突き刺さっている鋭利な角、両側についている巨大なハサミを獲物を砕かんとかちかちと鳴らしている。体躯は私の一回りも二回りも大きく、ほんの少しぶつかっただけで体が四散しそうになるほどです。


「想像以上にでかいですね」

「おー、普通にびびるな、これは」

私とミスナさんは目の前に立っているシュイガレンにびびって足をすくませていました。


シュイガレンは地を這う蟹とも言われているようですが、これは蟹というにはいささか大きすぎる気がします。


「か、勝てますかね?」

「さぁな、それはわからんけどやるしかないだろ」

ミスナさんは目をぎょろぎょろとさせ威嚇行動をとっているシュイガレンを前にして刀を抜きました。


「頑張ってねミスナ」

………この子は恐怖というものがないのですか、あれだけ大きなモンスターを前にしてなぜ足も震わせずに立ち、さらには他人の応援までできるのでしょうか、それが不思議でなりません。


「おう、任せとけ」

そう言って刀を担ぎながらミスナさんは笑いました。初めてミスナさんのクエストに同行した時に見せた弱腰の姿はもうどこにもありませんでした。


「さぁて、やるかぁ訓練での成果がどれほどあるのか試させてもらうぜ、二人は下がってて」

にやっと好戦的な笑みを浮かべてからミスナさんは刀を構えます。対してシュイガレンはその巨大なハサミをミスナさんに向かって容赦なく振り下ろしました。


とんでもなく早い振り下ろし、常人ならミンチになるところでしょう。ですがもうミスナさんは常人ではありません。

「はっなんだびびって損したぜ、教官の一撃の方が何倍も速かった」

ミスナさんはその振り下ろされたハサミを目にも止まらぬ速さで切り落としました。


半径120㎝ほどの厚さはあるであろうその巨大なハサミは何回もきりもみ回転をして、地面に突き刺さりました。


「きゅい、きゅいきゅい?」

シュイガレンは今自分にされたことを理解できず、無くなった自分のハサミを何度も見ます。

「じゃあごめんけどとどめと行こうか」

ミスナさんは自分の刀を鞘に納め、居合抜刀をするための形に入ります。


ごくっと生唾を呑み込む、あの絶技をもう一度見ることができる。


私は瞬きをも忘れるほど彼のその立ち姿に見入ってしまいました。


「きゅい、きゅい、きゅい!」

今にも刀が放たれようとしたそのとき、シュイガレンはミスナさんに背を向けて全力ダッシュしていってしまいました。


「………は?」

拍子抜けしたミスナさんは鞘から手を離し、茫然とする。そして私もミスナさんと同じく目を丸くして逃げ去っていくシュイレガンをただ眺めることしかできませんでした。


普通ならありえないことなのです。モンスターとは基本的に人を襲うことしかしない生物、知性を持つモンスターもいますがそれは第一級以上のモンスターだけなのです。


二級以下のモンスターは本能に従うことしかできない、これがギルドが出した結論でした。でも今その事実が覆されたのです。


「シュイレガンが逃げた?」

ミスナさんもどうやら同じ考えのようで今のこの状況を理解できず眉をしかめています。


これは大事件になりえます、三級のシュイレガンが本能を捨ててまで敵前逃亡をしたということは三級のモンスターに知性が芽生え始めたということになるのですから。


「………ミスナさん、追いますか?」

「そうだな、本当なら追いたいところだが、逃げた先が立ち入り禁止区域のリスナ密林なんだよなぁ」

ミスナさんは参ったなぁと後頭部をかいています。


見ると確かにシュイレガンは深い霧がかかっているリスナ密林の方に向かっています。


深い霧がかかり一度入ったら抜け出せないと言われ始めたリスナ密林、今はまだ五級のハンターであるミスナさん一人では立ち入ることはできません。


「では帰りますか?」

「………うーん、でも追わないといけない気もするんだよなぁ」

ミスナさんは嫌な予感がしたのかシュイレガンのことを放ってはおけないようです。


「まぁ、でも立ち入り禁止区域なんでしょ?じゃあおとなしく帰るのが吉じゃない?」

すると押し黙っていたセリアが口を開きました。まぁ悔しいですが私もその意見には賛成です。でも、ミスナさんはそうではないようで………。


「まぁそうなんだが………」

刀をぎゅっと握りしめ、名残惜しそうにリスナ密林の方を見つめています。

「何か、嫌な予感でもあるんですか?」

「あぁなんとなくだけど、今あの霧の中に行かなきゃ取り返しのつかない事態になるんじゃないかって」

私が問うと眉をしかめながらそう答えてくれました。


「まぁまぁ、立ち入り禁止区域なんだから行かない方が賢明なんじゃない?」

「………それもそうか、別に俺のこれも予感でしかないからな」

セリアの言葉によってそう見切りをつけたミスナさんは踵を返し、落とされているシュイレガンのハサミを軽々と片手で拾いました。


「じゃっ、これ運ぶのよろしくな」

「あ、はい任せてください」

私は背中に背負っていた大きな板を地面に置き、その上にハサミを置きました。相当な重量ですが、車輪のついた板の上に乗せて縄で引っ張れば運ぶのはそう難しいことではありません。


「じゃあ行きましょうか」

私達はシュイレガンのことを報告するためにも戦利品であるハサミだけを回収した後出発しました。


帰りの道中、特に何かあるわけでもなく平々凡々としたままの時間がただ過ぎました。


「にしてもなんで、シュイレガンは俺を食べようとするんじゃなくて逃げたんだろうな」

「それは私にもわかりません、もしかしたらあの個体だけが特別だったという考えもできますよ」

「まぁそう考えるのが妥当だろうな」

「または種全体に知性が芽生え始めたという説もあります、もしかしたらミスナさんも進化したシュイレガンにがぶっといかれるかもしれませんね」

「………レータ怖いこと言うなよ、俺はまだモンスターの餌になるには若いだろう」

「あーそういえばミスナさん、昨日夜中に出歩きました?」

「え?出歩いてないけど」

「あれ?おかしいですね私昨日の夜飲み屋にでかけるミスナさんを見たんですが………」

「うっそ、なにそれ怖い」

「あ、巷では最近ドッペルゲンガーが出るという噂が」

「やめろぉぉぉ!俺が二人いるなんて考えたくもない!こんな人間一人で十分だ!」

ミスナさんは頭をかきむしり身もだえています。それがおかしくて少し笑ってしまいました。

「冗談ですよ、にしても気にするとこそこですか」

ミスナさんはからかいがいのある人です。一度いじれば怒ることなくきちんと返してくれます。そうだ、私はミスナさんのそういうところも………。


「………調子乗らないでください」

「え、何急に!俺なんか言った!?」

「………なんでもないです」

あたふたとしたミスナさんを見て私はふいっと顔をそむけてその場をごまかしました、別に照れ隠しではありません。


「はぁ、俺なんもしてないはずなのに」

見るからにがくっと下がっている背中を見ると少し悪いことをした気分になりましたが、訂正するほどの勇気は出ませんでした。


「ミ、ミスナさんあの………え?」

ミスナさんに元気を出してもらおうと声をかけようとしたとき、私の体を大きな影が包みました。


そして恐る恐る後ろを振り返ると、寸前まで迫る大きな何かが私の視界を埋め尽くしていました。


瞬間、きぃぃぃん!という金切り音と共に私を覆っていた影が晴れました。


「え、なに、が」

「大丈夫か、レータ」

私を包み込んでくれたのはミスナさんの力強く優しい腕でした。


ミスナさんは片手に刀を持っていて、何やら焦っているのか額に汗をかいていました。


ミスナさんの奥には片腕をなくしたシュイレガンがばたばたと足を動かしてあおむけに倒れていました。


「何が起こったんですか、これは」

状況がつかめず目を白黒させていると、私を安心させるためかミスナさんは私の頭の上に手をポンと置いてくれました。

「おそらくだがさっき戦ったあいつが戻って来たんだ」

「………そんな、ことって」

「あぁ俺も信じられないけど、これが事実だ」


一度逃げたはずのシュイレガンがもう一度私達を襲うために戻って来たのだとすれば、それはシュイレガンに知性がついた確実な証拠になります。


ただの動物が捕食するために今のような行動をすることはありますが、モンスターは本能でしか動きません。2級以下のモンスターと比べると知性では動物の方が高いこともあるのです。


進化したとえば簡単ですがそれは徐々にするもの、こんなにも急激に起こるとは考えにくいです。


「ははっ何が起こってるんだか」

ミスナさんはさらに眉間にしわを寄せ、倒れているシュイレガンに向かって走り出しました。

「ほんと、気味が悪い」

ミスナさんは刀を突くようにしてシュイレガンの脳天を貫きました。するとシュイレガンはぴくぴくと動き、最後の生の証を残してからその生を終えました。


ミスナさんはその最期をきちんと見届けてから、こちらに振り返りぱっと咲くような笑顔を見せてくれました。

「ミスナさん助けてくれてありがとうございます」

「はっ気にすんな、これがハンターの仕事なんだから」

そう言って私の頭をまた撫でてくれました。それは暖かくて、優しくて、それでいて、少し悔しくもありました。


「ミスナさん至急ギルドに戻りましょう、このことは早く伝えなくてはいけません」

私はしゃべりながらもミスナさんに手伝ってもらいながらシュイレガンの体を持ち上げ板に乗せました。


「………あぁ、そうだな急ごう」

「そうだね、その方がいいかもね」

やっと口を開いてくれたセリアは無表情のままこの意見に賛同してくれました。



そして私達はギルドに戻り、今日あったことを報告しました。

「………と、いうことがあったんです」

「なるほどそんなことが………三級のモンスターの中でも個体差はあって、知性が比較的高いものもありますが、一度逃げて油断させてから戻ってくるほどの知能を持ったシュイレガンなんて聞いたことがありません、はぁぁ問題がまた増えてしまいました」

ジュリさんは大きなため息を吐きました。どうやら最近色々な問題が立て続けに起きギルド内が大変忙しくなっているそうで、そんな中でこんな問題が起こればそれはもうため息を吐きたくもなります。


「とりあえず、成功報酬の3万ネルはお支払い致しますね、クエスト達成おめでとうございます」

少し投げやりなお礼をした後にジュリさんはすぐに他の業務に映っていました。


「なんか、忙しそうでしたね」

「あぁ色々あるんだろう」

「ん、あれは」

私達はギルドを後にしてすぐにパーガスさんを筆頭にした団体が街を闊歩していました。


「あぁそうか今日出発するんだったな、リスナ密林の調査隊」

「そうでしたねこの大調査隊でリスナ密林の濃霧の元凶がわかればいいのですが」

「まぁそれが理想だがそう上手くはいかないだろうな」

案外ミスナさんは現実主義者のようです。


「………」

すると先頭を歩くパーガスさんがこちらを見てきました。でもその視線は私というよりもその後ろにいるミスナさんに向けられているようでした。


「え、めっちゃみられるんだけどこわ」

でもどうやらミスナさんはあの視線を向けられる理由がよくわらかないようでした。

「怖いですね、まるで蛇に睨まれたカエルのようです」

「おい、カエルはどっちのことを指しているのか聞こうじゃないか」

「ふふっもちろんミスナさんですよ」

「おいこら」

「いてっ」

ぺちんと頭を殴られてしまいました。


「それにしても、なんかいやぁな感じが漂ってきたなこの町も」

「………そうですね心なしか皆さんそわそわしている気がします」

「まぁ皆重要な防衛の要であるパーガスが遠征に出るから少し不安なんじゃない?」

「まぁ確かにそうなる気持ちもわかります」

シリウス・ルナが残るとはいえ、ガンマ拠点最高戦力の一人がいなくなるのです、少しは不安になるのも仕方ないと思います。


「でもこれでリスナ密林の霧の問題が解決するかもしれないんだ、しょうがないだろ」

「そうですね、私達はいつも通りに必死に生きていくしかありませんから」

それが私達が今できることなのだと思います。


























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理不尽狩りゲーの世界に転生した @rereretyutyuchiko

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