VIPルーム

 〜カジノ施設・VIPルーム前〜


 俺等は施設内を5分程度歩いたあと、扉の前にいた。

 扉の大きさは俺がさっき見た扉とは違い、両手でやっと開けられる程度の扉が、左右に2つ付いている。


「あれ?俺がさっき見た扉と全然大きさが違うんだが?俺が見たやつはもうちょっとちっちゃかったんだけど」


「えっ?僕が見たのはこれしかなかったけど」


「まじ?そう?」


 もしかしてVIPルームに行く扉ってそこらかしこについてんのか?

 それとも俺が見たやつが裏口とかそういう感じのやつなのかな。


「まぁなにはともあれ入れるわけだし、早速入ってみない?」


 カードを取り出しながら五色が言った。


「それもそうだな。それじゃあ早速やってくれ」


「任せて〜〜」


 そう言って五色はカードを専用の機器に通した。

 扉はゆっくりとそして静かに開いた。

 壮大さに俺等三人は声を出せずにいた。


「うおっすっげ……」


 一言目を発したのは緋呂斗だった。

 部屋の中には、さっきまでの部屋とは比べ物にならないほど豪華な装飾がされていた。


 なるほどな……こっちが本丸ってわけか……豪華さがさっきまでと違って一段階上だ。

 それに客の層もほとんどがエンジョイ勢ではなくギャンブラーって感じがする。


「なんかさっきまでと空気感が違いますね……空気感が違いすぎて、殺意まで感じてきちゃいました……」


 そう言って緋呂斗は体を震わせた。


 緋呂斗はどうやらさっきまでとの空気感の差に、随分と気圧されちまってるみたいだな。


「まぁまぁ落ち着いてよ命まで取られるわけじゃないんだしさ、楽しんでいこう!!」


「そうはいっても、さっきから空気感の差が激しすぎないか?緋呂斗が言ったように覇気がやばすぎるんですけど」


 顔つきがさっきまでのエンジョイ勢達の比じゃないんですけど……負けたら終わりみたいな顔してる生粋のギャンブラーしかいないんですけど。


「えっそりゃあそうでしょ。だってここで負けたらほとんどポイント持ってかれるもん、VIPルームだよ?そんな甘っちょろいわけ無いじゃん。ちなみにここから出るにはゲームをしないといけないからね」


 え?そんな話ほとんど聞いてないんだが?もしかしてこいつ嵌めやがったな……


「ちょっとまってくださいよ!!そんな話聞いてないっすよ!!どういうことですか!!」


「あれ?言ってなかったっけ!!」


 こいつ絶対わざとだろ……最初からVIPルームでゲームをするためにこのカジノ施設に来やがったな?

 最初からおかしいと思ったんだ俺と同じような性格のこいつがわざわざ運が介入するカジノ施設を選ぶなんて、全部は五色が強いやつと戦いたいがための選択でしかなかったんだ。

 くっそやられたこんなことならもうちょっと早くに止めておけば良かった……


「まぁまぁビビっててもしょうがないんだしさ、早速やろうよ」


 はぁしょうがないか、出れないんだったらやるしかねぇよな。


「確かに五色の言う通りだが、お前後で説教な?」


「うぃっす……」


「で?お前のことだからここで遊びたいやつでもいんだろ?ここにはいないんだったらさっさと移動しようぜ?」


「おっ僕のことよく分かってきたじゃん。いっし〜〜」


 肘でグリグリしてくんじゃねぇ……

 おっとそうだ、緋呂斗は大丈夫か?あいつさっきから様子がバグってたけど。


「たす……けて……」


 あー、こりゃあ完全に戦意喪失しちまってるな……まぁ急にこんなこと言われたらそうなるわな。動揺しないほうがおかしいぜ。


「おーーい緋呂斗立てるか〜〜って無理そうだな。引きずってくか」


「じゃああっち行ってみない?僕あっちに目的の人物がいる気がする!!」


 勘かよ……それに会いに来るんだったらもうちょっと調べてからこいよ……まぁでも俺が目的の人を知らないわけだし、付いていくしかねぇよな。


「それで?五色が目当てのやつってどんなやつなんだ?」


「えっとねーーこのカジノの総監督みたいな感じの人?ていうかなんか全く情報がなかったんだよね」


「おいおいそれって大丈夫なのかよ……」


「大丈夫大丈夫、生徒名簿の中にはいたからさ」


 本当に大丈夫なのかよ……情報がないって相当怪しそうだけど……


「それにその人周りから死ぬほど反感買ってるらしくてさ、多分書き込みからして相当なポイント数溜め込んでるんだよね。だから僕らでそのひと倒してポイント荒稼ぎプラス、注目度もあげちゃおうってわけよ」


「なるほど、つまりはそいつ倒して周りからの評価を上げようってわけね、煩悩の塊じゃねーか」


 こいつ本当はそいつの悪事とかどうでも良くて、ただゲームしたいだけだろこれ……


「でも周りからチヤホヤされるのはいいでしょ?それともこのまま平凡な学園生活送るの?」


 グッ……それはそうだけど……何も無い平凡な学園生活よりもいろんな人にチヤホヤされたいっていう気持ちもあるにはある……


「分かった、分かった俺の負けだおまえの考えは正しいよ」


「正直でよろしい」


 完全に遊ばれてんな、俺。


「それでさ、僕のプランなんだけど――」


 そう五色が言ったときだった。

 突然女の声が響き渡る。


「こんなのイカサマですわ!!おかしいです!!」


 な、なんだ?喧嘩か?


 俺は声の方に振り向いた。そこには、一人の女子生徒と対面に座っているサングラスを掛けた男がいた。


「おいおい嘘は良くないぜ一年生、それともなんだ負けた腹いせか?」


 うわぁ、煽るな〜〜ていうか今一年生って言った?VIPルームの外にはいなかったから、この施設に一年生はいないと思ってたけどいたんだな。

「なぁ五色、一年生ってこの施設にいるみたいだ――どうした?」


 五色の方を見るとまるで大好物を見つけた、猫のような顔をしている。


 なんだ急にあの二人を見てから目つきが急に変わった。まるでなにか探してたものを見つけたかのような……ん?探してた?

 もしかして五色が探してた男って。


「みぃーつけた」

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