ゼロヒャク
青女
ゼロヒャク
ゼロヒャクの此の世は敵か味方だけ 雀 御前も俺を疎むのか
春昼に血肉の花火またも鳴る 無常は響き忘れ去られる
女にも夢や友にもなれぬけど どうか私を扱わないで
ちょっとだけ違和感のある日が続く 人生は常にちょっとだけ不運
息凝らしても脈が蒼蠅く歌うから 騒がしく迷惑ばかり
自白か黙秘か 懺悔ののち叱られて 歪の花がぽっと咲く
暗闇の先の遠くの怪光に希望を賭けて徒跣の助走
親友の家族写真を我がものも同じと幸せを枉げる
気紛れな天道様は許されて僕の気儘は刃に掛かる
明け暮れの陽が差し込んだ会議室 ぞよめく個人情報に酔う
レールなど敷かれた人生ではないが私の行路はアイスバーン
急湍が耳掃除する夜夜中 気づかぬ間に戦争は終わる
剃刀が頸動脈に寄り添って傾げるふりも許されない身
旅烏 星が二人の輪郭を縫う駅舎から ともに行こう
原因は懈慢それとも疾病か 判れば私は救われるのか
鮮やかな夢の名残が付き纏う僕は駒にもなれないデブリ
僧愛の痩せ細る背にありたけの鬼火が宿り永遠を視た
偏照りの強い雑踏弾かれてそっと手鞠歌を口遊む
魅惑するシェルフロートのヴィーナスよ ナイトプールで純愛しよう
寵を受け汚れを知らぬはずだのに毒筆止まず血に染む右手
寄り縋るタロットカード天命を誂えるラストバレンタイン
幾度も今夏は僕に降り注ぎギブアップを促す赫焉
一眼に埋まりし青の魔法石 怨みは一己蝕む呪い
残涙に起き上がれない高空をスカンデルベグの鷲が翔る
グレーディングすれば病気も殺人も戦争も怠惰さえも映える
サイレンが極彩色で劈くもじりじり迫るグリッドロック
ボブスレー 自己帰属ある氷上をともに傾く二人でいたい
葵より蓼を気に入る金花虫だと駆除され異端になった恋よ
抜け髪がサーキュレーターに絡まり哀音刻む眠れぬ雨夜
グレーゾーンを仮借するのが大人 無人の赤信号を突っ切る
ゼロヒャク 青女 @Dachshundoku
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