自分の気持ちを再確認してしまいましたわ♪
現在、私はグランと話しながら街路を歩いていた。
既に外は陽が沈みかけ薄暗い。
「そういえば家さがし、どうするんだ?」
「そうでしたわ。できれば早くみつけたいのですよね」
「それなら明日にしよう。確か予定を入れてなかったはずだ」
やはりグランは優しいですわ。でも、これは誰にでもなのですよね。できるならば私だけにしてほしいです。
「どうした? 明日じゃ駄目なのか?」
「アッ! いえ……大丈夫ですわ」
「そうか……それなら良かった。なんか気がのらないようにみえたから無理なのかと」
優しく笑いかけてくれる。この笑顔を何時までもみていたい。でも、それはあと何歩でみれなくなる。
そう思った瞬間、涙が溢れ出てきた。
「め、メルナ!? なんかオレ……泣かせるようなことをしたのか。そうだったら……ごめん」
「いいえ……違いますわ。グランとあとわずかで、お別れだと思ったら寂しくなってしまいましたの」
「そうだな……オレもだ。でも明日また逢える……」
グランも私と同じ気持ちなの? それとも気をつかって合わせてくれているの? それでもいい。私がグランを好きだという気持ちは変わらないわ。
「そうですわね。また明日……グランに逢えるのですもの。それまでの間だけの我慢ですわ」
「一人になるのが心細いのか?」
「そう、なのかもしれない。ですが問題ないですわ」
これ以上グランに迷惑かけられないもの。それに、また明日あえるわ。
「無理してないよな?」
「ええ、していません。それよりも、ラクリウスのこと本当に大丈夫なのでしょうか?」
「気になるのか?」
グランの顔色が変わってしまいましたわ。私……マズいことを言ってしまったのでしょうか?
★♡★♡★
なんで急に
やっぱり元婚約者だから気になるのか? そうだとしても……。
「気になると云うか……グラン…………本当は迷惑なんじゃないかと思ったの」
「あー……そういう事か。男同士だし問題ない。それに何かするようなら追い出すつもりだ」
「それなら良かったわ」
ああ……オレの心配をしてくれたのか、メルナは優しい。それに笑顔が堪らなく可愛すぎる。……目が離せないよな。
あと少しでメルナとお別れか。だけど明日、逢えるんだ。それまでの我慢。メルナも同じ気持ちなんだから……。
「そろそろだな」
「そうね……明日が楽しみだわ」
話をしているうちにメルナが泊まる宿屋の前まで来てしまった。
「じゃあ、また明日。ここで待ち合わせしよう」
「ええ、また明日……ここで待っていますわね」
そう言いメルナは手を振り宿屋の入口へ向かう。
オレはメルナをみていた。
「……!?」
荷馬車がメルナの方へ向かって迫っているのがみえオレは駆けだす。
メルナは気づいてない! 荷馬車には誰ものっていないのか?
「メルナアァァー……避けろおぉぉおおー!!」
駄目だ! 立ちどまるな。振り向かないでくれ!!
そう考えるもメルナは、オレの思いと裏腹に立ちどまり振りむこうとしている。
このままじゃ荷馬車に轢かれると思いメルナへ跳びかかった。
チラッと横目で確認してみる。荷馬車は、そのまま宿屋の近くにある大木に衝突し大破したようだ。
★♡★♡★
グラン? 私を助けるために……。グランが私の上にのっている。顔が近い。助けるために今の状況になったのは分かっているわ。
それでも……顔が熱い。胸の鼓動が異常に速くなってる。
「メルナ……大丈夫か?」
「は、はい! 問題ありませんわ……ありがとうございます。只……この状況、って」
「あ、ごめん……すぐに退く」
ああ……本当に退いてしまうのですね。このままでも良いのですけれど……。
そう思っていても口に出せる訳もなく……。
立ち上がったグランは私の横にくる。そして私の手を取り起きるのを手伝ってくれた。
「痛いところないか?」
「軽く擦りむいた程度ですので、あとで薬を塗っておけば問題ないですわ」
「そうか、それなら良かった」
優しく笑いかけてくれている。更にグランのことが好きになっていることに気づく。
それでも、この気持ちを今言ってしまってフラれたらと思うと怖い。それなら、このままでいい。
その後、私はグランに再び「また明日、逢いましょう」と言い手を振り宿屋の中に入る。
宿屋の中に私が入るまでグランはみていてくれていた。
婚約破棄されて自由だと思ったら、そうはいかなかったみたいです!! みけ猫 ミイミ @myimi
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