貴方の傍に居てもいいのですか?
どうしたらいいの? まさか扉を開けたら、グランが目の前に居ると思わなかったのですもの。
そう思いながら私は、ユックリと立ち上がる。
目の前にグランの手が差し出された。
「大丈夫か? それよりも、どこに行こうとしてたんだ?」
グランの手をとり私は立ち上がる。
「ありがとうございます。……これ以上グランに迷惑をかける訳にはいかないと思ったの」
胸が苦しくてグランの顔がみれない。
そう思っているとグランは、ギュッと私のことを抱きしめた。
えっ!? どういう事なの?
「迷惑……そんなこと一握りも思ってない」
「で、でも……私……元は貴族だったし……そのことだって黙ってた。それに婚約破棄のことも」
「言いたくなかっただけだろ。それに……そのことを聞いたとしても、オレがメルナを嫌いになる訳ない!」
それって私を好きってことなの? でも、その好きは多分……友人としてよね。だけど……傍にいられるなら、それでもいいわ。
「じゃあ今まで通り一緒に居てもいいの?」
「ああ……勿論、構わない」
「良かったですわ。まだ色々とグランには教えてもらいたいことがありますもの」
そう言ったあとグランの表情が一変し暗くなっているようにみえた。
何か……いけないことを言ってしまったのかしら?
★♡★♡★
分かってるはずだ。メルナは何も分からないから、オレのことを頼っているだけだって。でも……好きなんだ。だから気持ちを伝えたい。
だけど今は……まだ、この関係を壊したくないから。このまま傍に居られるなら友人としてでもいいんだ。
そう思いオレはメルナをみた。メルナは泣きそうになっている。
オレのせいか? もしかして気持ちが表情に出てたのかもしれない。
「メルナ、ごめん。嫌な訳じゃない。只オレでいいのかと思った」
「私は、グランだからいいのですわ。そばに居て色々教えてください」
「ああ……そうだな。教えられることが、どれくらいあるか分からない。だが、できる限りメルナのそばにいる」
これでいいよな? メルナも喜んでるみたいだし。これから先も……な。
「ありがとうございます。そう言ってくれて凄く嬉しいですわ」
「礼を言われるほどじゃない。あーそういえば、これからどうするんだ?」
「そうでしたわ。そういえばラクリウスを、このままにしてはおけませんわよね」
そういえば余計な
「そうだな……仕方ない。今日はオレの家に泊める」
「大丈夫ですの?」
「た、多分な。それよりもメルナは、どうする?」
そう聞くとメルナは、なぜか俯いて顔を赤らめている。
なんかオレ、また変なことを言ったのか?
「あー……そうね。もう少し話をしていたかったけど……暗くなってきたし今日は宿に戻るわ」
「オレも、もう少し話をして……そうだ! 宿まで送っていけばいいのか」
「まあ~……それは名案ですわ」
よかった……メルナが喜んでくれた。これで、もう少しだけメルナと一緒に居られる。
その後オレはメルナと家の外に向かった。
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