外伝・ダンジョン出現と復讐
天神 喰臥は天才であった。
天神 喰臥は神童であった。
天神 喰臥は文武両道であった。
天神 喰臥は神の申し子であった。
天神 喰臥は人気者であった。
天神 喰臥は希望に溢れていた。
天神 喰臥は所詮一人の人間に過ぎなかった。
その圧倒的な才、故に両親を亡くし命の恩人であり最高の友人を亡くし、国を恨み愚物を恨み愚かで矮小なマスメディアに躍らせれる民を憎んだ。
自分の今持つ全ての能力を利用して出来る限り酷い爪痕をこの国に残して死のう。
そう思った。
そんな時であった。最後に彼の遺品を整理している途中、日記を見つけた。
日記には自分の幼少期の悲惨な体験から始まり、それでもめげずにこの国の為に戦い続けた彼の苦悩が書き綴られていた。
読み進めると自分についても書かれていた。
自分と同じようにこの国の為に行動を起こしてくれた最高の唯一無二の親友であり、未来を託せる存在だと。
彼の日記には自分と同士達への感謝に、国民に対しての想いに満ち溢れていた。
天神は涙した。
自分はさっきまで何をしようとした。
この国を汚す行為は彼への侮辱だ。どれだけ難しい道のりであろうと今は亡き彼の為にも足掻こうと、足掻き続けようと決意した。
それからも天神は戦い続けた。
それでも敵は強大で思うようにいかなかった。
時には知識も力もなく何の信念もなく実績もなく政策立案を一回もしたことないような元グラドルなんかが自分が求めてやまない大臣の職にあっさりとついたりした。
明らかな中抜きを見つけて証拠を集めても握り潰された。
同士達が次々と存在しない不正の証拠であったり、安易なハニトラや詐欺に引っかかったりして脱落していった。
・・・・・・・・・
それでも戦い続けた。
そうして戦っていたある日のことであった。
それは起こった。
第一次ダンジョン革命
日本含む5つの国に突如謎の洞窟が発生した。
調査を行った所、中には空想上の生物といえる魔物の存在が確認されると共に数多の犠牲も出てしまった。
そんなダンジョンであるが、最初はどの国も懐疑的で調査は非常に消極的であった。
それもその筈、調査を行った部隊の半数以上が犠牲となり、得られた成果はよくわからない、カラフルな石と中にはヤバい化け物がいるということだけだったのだから。
特に日本はその動きが顕著であり、触らぬ神に祟りなしとでも言えようか、ダンジョン周辺のみを厳重に封鎖した。
そして悲劇は起こった。
封鎖していたダンジョンから魔物が溢れるダンジョンブレイクが勃発、何とか市民への被害は防げたものの、封鎖基地は壊滅し数多の自衛官が犠牲となってしまった。
そして他国でも同様の被害が報告され、ダンジョンの魔物を放置すると溢れ出すダンジョンブレイクが発生するということが明らかになってしまった。
かくして日本も重い腰を上げてダンジョン攻略に挑もうとするが責任者の擦り付け合いが始まった。
それもその筈、初期段階でのダンジョンの評価は危ない魔物が出て利益は得られず、不利益しか生まない物であったのだから。
だがしかし、そんなダンジョン攻略の総責任者に自ら名乗りをあげた政治家がいた。
彼の名前は天神 喰臥。
臨時ではあるものの未確認洞窟・通称・ダンジョン管轄大臣として起用され、国民がダンジョンから出る魔物に怯えなくて済むように立ち向かった。
天神 喰臥は天才であった。
それもただの天才ではない、神に愛された天才であった。
天神はダンジョンでもその才能を遺憾なく発揮した。
自身もダンジョン攻略の最前線に立ち、魔物を倒し攻略の指揮を執った。
他国がダンジョン攻略にて犠牲者を出す中、天神が指揮を取り始めてからダンジョン攻略において一切の死者を出さなかった。
そして攻略を進めていくに連れて、天神は自分の肉体の変化に気が付いた。
明らかに身体が若返り、身体能力が向上し、時々未来が見えるようになった。
その変化は自分だけではなく、自分と同じようにダンジョンに潜ってる部下達にも見られた。
ただ、自分が未来を見えるようになるのとは違い、火を出せる様になる者、植物を操れるようになる者、身体に電気を纏う者、他者を呪う力を持つ者。
その変化は千差万別であった。
天神はこの変化して手に入れた力を暫定で超能力と定め、変化した者を覚醒者と呼んだ。
覚醒者となった天神達のダンジョン攻略はより一層進んだ。
攻略をしていく中で四肢欠損すらも治す魔法の薬や未知の金属で作られたであろう人智を超えた性能を持った武器や防具、開くだけで力を手に入れることが出来る魔法のスクロール、綺麗で美味しい水が出続ける魔法の水袋、物理法則を完全に無視して大量の物が中に入る魔法の鞄、人を若返らせれる魔法の丸薬。
値段を付けられない様な貴重な品々が発見されるようになった。
天神はこれを敢えてオープンにした。
普通であればダンジョンが莫大な利権を生み出すことが上に知られれば自分は解雇されて上にとって都合の良い人が送られるだけであったが、そうではなかった。
これらの魔法の品々が出てくるダンジョンを攻略できる強力な覚醒者は自分と自分に忠実な部下数名しかいなかったのだから。
天神はこれらの魔法の品々を使い、自分の権力を高めた。特に四肢欠損すら治す治療薬であるエリクサーと若返りの丸薬の二つは自分が求めていた報道関係者の上層部を味方に付けれる程の力があった。
メディアの力もあり世論もダンジョンブレイクを起こさないようにほぼ年中無休でダンジョンに潜り続けて戦い続けている天神に対して好意的であった。
そして天神は時は熟したとばかりに復讐を行った。
未来を見通す力と自分の忠実な部下の一人の持つ他者を呪う力を利用して、この国の癌となっている存在のほぼ全てを寿命や病気、事故の見せかけて殺害した。
・・・・・・・・・
その日、天神は親友の墓の前で浴びる程酒を飲んだ。
だけど覚醒者となり人智を超えた肉体を手にしていた天神はどれだけお酒を飲んでも酔うことは出来なかった。
どれだけ自分が酔いたいと望んでも、決して酔えなかった・・・。
それでも天神は彼の好きだったお酒を浴びる様に飲み続け、酔ったふりをして墓石の前で涙した。
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