BAD END / IF√
許さない!私を苛めたあいつらが!
音湖さんも…、遠藤先生も…、ママも…。
結局誰も私を見捨てて助けてくれなかった!!
何故!?
何故人間はこうも自分の利益を優先するんだ!!
この怒りと呆気なさを自室でただひたすら消化するのを待つのか!?
カーテンは閉じられ窓も閉め、部屋には湿った空気がやんわりと対流するだけ。薄暗く、昼か夜かハッキリしない。
いつになったら……。
いつになったら終わるのだ。
自室で引きこもり、ただ呆然と真っ白い壁を見詰めていた。何かを敬遠するかのように身体を縮こめて、体育座りに。
【それから3年後】
以前状況は変わらないまま時間は過ぎた。
ママは私に対して優しく言葉を掛けていたが、今では何も介さず部屋のドアを開けてはお盆に乗せた食事を配膳する。表情も見せず。
真っ白い壁を見詰めたまま、何も出来ずに終わるのか?
バレーボールすら私には敵わないのか?
『いや。敵う者ならいる。』
えっ!?この私が!?
『そうだとも。お前は何も悪くない。単に外部から被害を受けただけだ。』
被害を……。
『そうだ!お前は心機一転しようと入部し順調に個性を身につけた。しかし。あの2年ズ。あの醜悪に満ちた利権しか能のない2年ズ。靴を舐めさせられ、靴に針を仕込まされ、裸にされ、怪我を負わせ、手首を切られ、腹を殴られ、片づけを何度も任され、ドリンクをガソリンにされ、終いにはを恥辱を世間に観せつけられたのだ!』
ッ!で、でも…。
『なんだ!?言い訳してまた逃げるのか!?私は許さないぞ!このまま"私"だけ次第に次第に廃れていくのは人生として余りに呆気ないのではないか?加えて奴等は自ら泥々に汚した手を清澄な湖で洗浄したと思い込んでいる。あいつらには、人生の"絶望"を味わせるのだ!』
絶望…………。
『フッ。数年経とうと、奴等は人を蔑ろにする根本さは変わらないだろう。今頃どっかの高校で下部を見つけては撃を繰り返し優越感を満たしているに違いない。ならば、断ち切るのみ。それも、"絶望"と"復讐"を与えて。』
埃だらけの腐ったカーテンをゆっくりと開ける。時間は夜だった。
それから私は別の"私"と共に実行に至った。
『"復讐"するのだ。あの蟻にも満たないカス共を。』
シャワーで身体を清潔にし服を着替え、ママが仕事で家にいない時間帯を狙って外出を繰り返した。近くの図書館でただただパソコンを開いてただただ調べた。
何度も、何度も、何度も、奴等を探して。
そしてついに突き止めた。
『驚いた。意外にも隣の市にいるのか。しかも、奴等全員そのまま同じ高校へ。』
1人専用のパソコンを前に、ゆっくりと左手を天に仰ぎながら"私"は話した。
『"私"よ。なれば容易いことよ。』
「"私"よ。なれば容易いことよ。」
『期日は◯月◯日火曜日の朝9時。自宅の包丁を3枚鞄に入れ、奴等を見つけ次第、一直線に走り抜け突き刺すのみ。全員を始末し終えたら、目的が達成したら、後は周辺にいる肉塊共を切り回すのみだ。』
「ハッ!!」
意識が戻り仰いだ片手を目から離す。周囲に座り読んでいた肉塊達はギョッとしたように私を見て引いていた。どうやら歓喜のあまり、"私"が前面に出ていたようだ。側から見たらブツブツと1人芝居していただろう。
【実行日】
校門前、通り過ぎてゆく同年代の肉塊達の中で唯一制服をしてない私。
ヨレヨレのシャツ、ヨレヨレのズボン。シャツの襟がヨレ過ぎブラジャーが視認されようと、今はどうでもいい。
待ち続け、ついに。
私は何ら変わってない林田、田辺ら5人を見つけた。キタッ!!高揚したまま一直線に走る。無意識に奇声を挙げていたが自分の耳には全く響かない。
ズッ!!
1人、腹を突き刺し、逃げは追いかけ脇腹を突き刺し、逃げは追いかけ頭を突き刺した。
不思議と奴等の刺した肉肉しい感触が全く無い。
当の林田は立ちすくんでたので首を真正面に刺してやった。
「カッ、フハッ!」
血がドロドロと独特な匂いを帯びて漏れ出す。
『顔から生気を失う様は清々しい。』
私は包丁を片手に周囲の肉塊達に向けて大雑把に振り回した。途端に大の肉塊達が私を止めに来た。体当たりされ、私は体力の限界と襲いかかってきた肉の重さのあまり身動き1つ取れなかった。
似つかわしくない赤い太陽が視界に入る。
『さあ、最後の力を振り絞るのだ。"私"よ。』
倒れ込んで間もなく、右手に握られていた自分の包丁を自分の首横に刺しこむ。
ズッ!!!
IF√
呪授舞美 辻田鷹斗 @ryuto7ryu
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