第二話 ケイドロ? ドロケイ?

召集場所についた。召集場所は皇女舞踊のクランだった。石造りの壁に蔦が絡みつく重厚な洋館。門をくぐると広大な庭園が広がり、噴水の水音が心地よく響いていた。……すごすぎるだろ。


「応募者はこちらにきて手続きをお願いします!」


 そんな明るい声が聞こえた。声の出所に顔を向ける。


「あ、応募者ですか? 名前をお聞きしてもいいですか?」


「神酒真也です」


「神酒、神酒、ありました。こちらのカードを首にかけてください。その後はあちらに向かってください」


「わかりましたー」


カードを首にかけて、彼女が指さしている方向に向かって歩く。情報とかは書かされなかったが、応募の時真白が代わりに入力したのだろうか。……余計なことを書いてないことを祈る。その後は案内に従って、進んでいく。それぞれがカードに書いてあるA~Jの記号にあった部屋に入った。俺が入った、Jグループの部屋にはすでに何人もの冒険者たちが集まっており、ざわめきが響いていた。誰もが緊張した様子で、これから始まる選抜試験に備えている。俺だけ場違いな雰囲気出してそうなんだが……。


 ……それにしても、試験内容の説明はまだないのか? まさか、いきなり実技試験とかじゃないよな?


「はい、ちゅうもーく!」


 突如大きな声が響く。その声によって人々の声が急に静まった。それと同時に人々の視線が彼女へ向く。


「みなさん、こんにちは! 私はこのクランの長の赤羽真凛だよ! よろしくね!」


 ホログラムで映し出されていて、元気な声を発する彼女は長い赤髪が美しく、晴れやかな空気をまとっていた。すごいな、一目見ただけで実力の高さが分かる。というか……真白とは対照的だな。


「早速ですが、みなさんには試験を受けてもらいます! 試験内容は――


復活がないケイドロです!


範囲はこの洋館の中で、鬼はクランメンバーでゴールドランク保持者とレジェンドランク保持者の人です! 大体30人ぐらいかな? 全部で10回に分けてするよ! 各回A~Jのグループ1グループずつ逃げてもらうよ! 全員でやると人数がやばやばだからね!


能力はどうぞ自由に使ってね! ただ、逃走者同士の争いは禁止ね! 私たちへの攻撃はアリだけど、君たちは1回でも私たちに手で触れられたらアウトね! アウトの人は観戦してもらうよ!


では最初にAグループからスタート!! ほかのグループはゆっくり体を休めてね!」


 試験の内容の発表によって部屋の中は困惑や衝撃でより騒がしくなっていた。試験までゆっくりするとしますかね。


 ◇


 だいぶ時間がたってようやく俺たちの番になったようで、クランの人たちに呼ばれた。


「今から1時間は洋館を探索して、構造を覚えて、隠れる場所や逃げるルートなどを把握しておいてください」


 そういわれて各自飛び出して、探索を始めた。俺も少し物陰を見つけ、そこに隠れてあるものを取り出す。


「うーんとりあえず、素早く探索するなら、これかな」


 そうして取り出したのはエナジードリンクであるインスタ―である。


 能力を発動して、インスタ―を飲む。ドリンクを飲むときに能力を発動することで、力は得られる。効果時間は飲み物の量に比例する。500mlだったら24時間ぐらいだ。


「それなにー?」


 後ろから声をかけられる。この声は……


「真白か。これはインスタ―だ。探索に便利ならこれかなって思ってな」


 ドリンクの効果で、おれは普段の身体能力の3倍になっている俺は地面を蹴り、学校の中を飛び回る。時間も限られてるし、さっさと全体を把握しないとな。

 

「たしかにー。身体能力がめっちゃ上がるもんねー。どうせなら二種類ドリンク飲んだら―?」


 当然のようにこいつは真横に張り付いているな……。俺が言えることじゃないが化け物だな、こいつ。

 

「お前わかってるくせに言うなし……。複数使用は種類の数に応じて身体に悪影響が出るの知ってるだろ」

 

「でも2種類ぐらいならあんまきつくないじゃん。いけるよー」


「そうだけど、一応な?」


そんな雑談をしていたら、いつのまにか1時間がたっていた。


 Jグループの人が集まった。そして全員が赤羽真凛のほうを向く。


「じゃあ、始めるよ! 20分後に鬼が捕まえに行くからね! よーーーーいスタート!」

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飲み物で能力強化!~最強ドリンカー(?)はダンジョンに!~ りくま @yorikuma

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