ばくのはなし
鼠径部の化身
ぼくのはなし
ぼくは、いつもお兄ちゃんと遊んでいる。家族じゃないけど、よくしてくれるお兄ちゃん。きょうは、お兄ちゃんにむかしばなしをするよ。
ぼくのお家は5人家族。お父さん、お母さん、お姉ちゃん、おとうと、ぼく。お金は無かったけど楽しく暮らしていたよ。お父さんは、厳しくて怖い人だったよ。お母さんは、あんまり目をあわせてくれないけどやさしいひとだったよ。お姉ちゃんは、優しくてつよいんだよ。ぼくのことを守ってくれたし、料理のお手伝いもしてくれたよ。ぼくにはね、料理当番があるんだよ。毎週金曜日の夜はぼくが作るんだ。弟はね。小さくて可愛かったよ。
ある日お父さんとお母さんが喧嘩した。なにがげんいんかわからないけど、
「あいつをどうにかしろ。」
「いやよ。」
とかいいあっていたんだ。なんのはなしかよくわからなかったけど、多分、虫か何かがいたんだとおもうよ。でもね、次の日はね金曜日だったからね、ぼくの料理でお母さんを元気づけたよ。お父さんは、帰ってこなかったけどね。 お父さん、好きなカレーライスにしたら喜ぶと思ったのに。
またある日、お母さんがおしごとから帰ると
「なにもかもあいつがわるいのよ」「あいつさえ居なければ」
「私のどん底はあいつからはじまった」
とかひとりごとを言ってたよ。おさけを飲んでいるみたいだから次の日のご飯は、ぼくがつくったよ。でもね、小さくなって起きてこなかったよ。 お母さん、すき焼きにしたらよろこぶと思ったのに。
そのまたある日、おとうとと遊んだよ。
「宗くんはどんなおもちゃがすきなの?」
「これ!あとこれ!これも!」
「小さいのがすきなんだね。」
「うん!」
「ほかにすきな物はないの?」
「おにく!」
とかお話したり、つみきをしたりして遊んだよ。その日はぼくがご飯を作る日だったから、サイコロステーキにしたよ。 おとうと、小さくしたら喜ぶと思ったのに、作るときに泣き叫ぶんだ。ひどいよね。おとうとが小さいのがすきだと言ったのに。おとうとがおにくがすきだといったのに。
またある日、お姉ちゃんと買い物にでかけたよ。
「今日は何つくってくれるのかな?」
「お姉ちゃんはなにがすき?」
「お姉ちゃんはね、すきやきかな?」
「じゃあすきやきつくる!」
「ありがとう。」
ってお話ししたからスーパーで、卵、ねぎ、豆腐、しいたけ、えのき、白滝を買って帰ったよ。
「お姉ちゃんすきやきできたよ。」
返事はなかったよ。そういえばみんないない。あるのは、血生臭いすきやきだけ。いつもはお姉ちゃんが手伝ってくれてたのに、今日は手伝ってくれなかった。この日からひとりぼっちになった。
っていう話をお兄ちゃんにしたよ。お兄ちゃんはけんきゅう?おべんきょうをしてるんだって。なんのおべんきょうかよくわかんなかったけど、ぼくの話が必要なんだって。
今日はお兄ちゃんのお友達が来たよ。この前の話をして欲しいんだって。お友達さんはけい?のために必要なんだって。けいはお友達さんのお友達かな?必要なことなら何回でもしようと思うよ。
そういえば一つ思い出したことがあるよ。「おにくの処理したときに、ご飯に使えないところが出たからお家の裏にある山に埋めに行った」こと。ぼくは「生ゴミでいいよ」って言ったのけど、お姉ちゃんが「だめ!」て怒鳴ったから裏山に埋めることにしたよ。なんでだろうね。
この話をお友達さんにしたら急いでどこかに行っちゃった。もっとゆっくりすればいいのに。
今日は、怖いおじさんが二人きたよ。初めはお仕置き部屋に連れ地行かれると思ったけど、お姉ちゃんの部屋だったよ。机と椅子もあるし、鏡もあるからきっとお姉ちゃんの部屋だね。お姉ちゃんの部屋ではまたいつもの話をしたよ。一人のおじさんはずっと何かをカタカタしてたよ。何をしてだろう。もう一人のおじさんはぼくに「それだけか!」って言ってたけど、ぼくのはなしに何を期待してたんだろう。ぼくは「食べたい物を食べて過ごした」それだけだよ。
今日は、大きな所に来たよ。そこでもいつもの話をさせられたよ。いつもよりはずかしかったな。前にも人、右にはこの前のお友達さん、左にはこの前のおじさん達、後ろにもいたね。たくさんいたよ。スーツの人、髭の生えたおじさん。絵を描いてる人もいたよ。ぼくのことは、かっこよく描いてくれたかな。ぼくが話してる時間より、お友達さんが話してる時間の方が長かったな。なに言ってるかさっぱりわからなかたけどスムーズに話は進んでいたよ。また最後に、真ん中に立たされてこう言われたよ。
「責任能力なし・無罪」
こうして僕はまた一人になった。
さて次は誰を食べようか。
ばくのはなし 鼠径部の化身 @sokeibu
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