第22話色んなクエストを受けよう(回復薬造り編3)
家を出て回復薬が入った木箱を外に出す。
1箱50本で今回は計2箱。
緩衝材とか一切使わないから割れるのがマジで怖い…
布くらい回復薬同士の間に挟んでもいいんじゃないか?と思えるくらいにはガチャガチャ鳴る。
多少持ち運びの心配をしていたがそこに準備を終えた老婆が出てきた。
「お待たせ。じゃあよろしく頼むよ」
「はい」
俺は再び積み重ねた木箱を持ち上げ、老婆の横を歩き出す。
「にしても中々の重さですよね。依頼を受けた人がいなかったらどうしてたんですか?」
重さにして約20kg前後。
老婆が持つにはかなりキツい。
1つを軽くして往復しようにもギルドまでは徒歩約10分。
それを何往復もするのは現実的には思えない。
「いつもは孫娘が運んでくれるんさね、ま、だとしても今回みたいに一度には運べないから二往復くらいはするだろうさ」
どうやらこの老婆には孫娘がいて、普段はその子が手伝いをするみたいだ。
けどそれでも二往復して回復薬を運ぶのは骨が折れるだろう。
個人的にはこの人達の負担が減るならやはりこの依頼を受けて正解だったようだ。
◇◆◇◆◇◆
ようやくギルドに着いた。
老婆が先に正面の扉を開けて、俺を入れてくれた。
俺は木箱を運んでカウンターの下に置き、老婆の横に立つ。
「回復薬の納品だ」
老婆が何か木札と俺が渡した依頼書を受付の女性に渡し、何かボソボソと耳打ちした。
「はい、えーっと、ジェイルさんが受けた依頼ですね。確認します」
女性がカウンターから出て来て瓶の様子を確認する。
「…はい、割れ等はありませんね。納品ありがとうございます。それからジェイルさんの依頼も終わりなのでこちら、報酬となります」
黒いトレーに金貨3枚と銀貨8枚が積まれて置かれていた。
金額にして3万8000円だろうか?
というか少し多くないか?
「あれ?お婆さん、報酬って…ってあれ?」
老婆に確認してもらおうとしたが既に老婆はいなくなっていた。
なので試しに受付の女性に確認してみる。
「あの…少し多くないですか?」
「それなんですけど中々に手際が良かったし案外早く完成したから色を付けたとの事です」
少し困ったような笑顔で"受け取ってあげて下さい"と言外に言われた。
ま、それならありがたく受け取っておこうか、と貨幣を財布に入れた。
そこで腕時計を見るとちょうど10時だった。
「一旦休憩入れて別の依頼受けるか」
俺はギルド内で時間を潰す為、長テーブルに1人で座る。
(にしても…なんか色んな人がいるな…)
それにその人々の着けてる装備はちぐはぐだ。
何本もパイプが付いた機械チックな剣を整備してる人、どこかの部族みたいな人が上半身裸でお手製と思われる弓矢の調整をしてる者、芸術品とも思われそうな豪華な槍の手入れをしてる者等、様々だ。
そしてその者達の片腕にはそれぞれ色や紋章の違う腕章が着けられている者もいた。
(やっぱ出稼ぎなのかな?にしてもあのパイプの人、ここと世界観合わな過ぎだろ…かと言ってあの部族みたいな人とは文明の差も…あ、もしかしてあのパイプ剣の人ってラテゼ魔工皇国の人か?ってなるとあの部族の人はアスマニアの人か。だとしたら文明の差が大きいのも頷けるな…)
1人で色んな人を見ているとキュゥゥウウ…とお腹が鳴る。
(さすがに軽食でも摂るか…)
俺は長テーブルの端にあるメニュー表を取り、文字の早見表と照らし合わせながら読んでいく。
「えーっと…さ…さん…あ、サンドイッチか。それと紅茶のセットかな?あ、これにしよう」
俺はギルド内の役員を呼んでそのサンドイッチセットを注文する。
(さて、注文はしたから次にやる事を考えよう)
さっきは回復薬の製造の手伝いをしたから次は外に出る仕事にしようとあれこれ考える。
するとサンドイッチセットが来たので食べながら考える事にした。
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