第77話 選手交代
魔法とはダンジョンの出現により発生した未知の技術であり、25年経った今でも確固たる技術体系が確立されていない、未開拓の力である。
それ故に、探索者の間には魔法について一つの共通認識がある。それは、魔法は修練や勉学が意味をなさない、才能の領域であるということ。どこまで行っても感覚であり、強力な魔法を行使する者の教えを聞いても一生使えない者がいる一方で、昨日まで魔法のまの字も使えなかったはずの者が急に大魔法を行使できるようになる、なんてことはざらにある。
そして、こうも言われる。魔法を使える才能と、魔法を使う才能は別である、と。
たとえ必殺の魔法を覚えていたとしても、ダンジョンの中で適切に使えなければ意味が無い。たとえどんな相手にも命中させられる技量があったとしても、火力がなければダメージにすらならない。
「とりあえず、4種類でいいかな」
その観点から見れば、彼はまさしくその両方を兼ね備えていた。
熱、冷気、電撃、土砂。幾重にも重なった魔法陣から異なる属性の魔法を同時展開し、全方向から攻撃を行う。単調にならないよう、それぞれに威力と速度の緩急をつけて。
:わー色とりどりできれいー
:なんかすごいことが起こってるのはわかる!
:曲芸かよw
:ありえねえ、どんな脳みそしたらこれができるんだよ
複数の魔法の習得と、それを同時並列的に処理し操作する技術。それは、サンダイレン随一の魔法使いであるオリオーンだからこそできる御業であった。
といっても、今回は相手が悪かった。巻き起こる土煙の中から、先ほどからなにも変わっていないツバキの姿が現れる。
「あはは! すんません、やっぱ効いてないっぽいです!」
「まあ、わかっていたことだ。アn……の人の攻撃が通っていないのに、私たちの攻撃が通用するわけない。当然だ」
「なんでそんな誇らしげなんですか」
:どや顔のサンダイ様可愛い
:やっぱ芝崎さんへの態度が変じゃないかサンダイ様
鼻息荒くしながら憧れを語るサンダイに、困惑するオリオーン。二人とも、自分たちの攻撃が何一つ通用していないことを気にも留めていない様子だった。昨日見た映画の感想を共有するかのように、日常の続きのまま言葉を交わす。
「うーむ、同じ攻撃法は避けた方がいいって話だが、もう少し種類を増やせるか?」
「そりゃあいけはしますけども、配信されてるのにあんま手の内は見せたくないですね。リリカさんにも色々言われてますし」
「……オリオーン」
ふいに冷たくなる空気に、オリオーンは飄々と笑いながら返事をする。
「冗談ですよ、半分くらい。それに、なにも加勢に来たのは
「その通り! 選手交代だ! 《ボムレイン》!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます