第8話 遺跡探索
「エイン、公爵家の御曹司をそのまま行かせて良かったのか?あの御仁、かなりのやり手と見たが。……いや、むしろ、あの御仁が黒幕なのではないか?」
ゴーズが邪推しながら俺に尋ねてくる、
「確かにエドワード坊ちゃんと、仲間の陰陽師の小僧だけで俺たちの実力より上だろうよ、あの二人なら亜竜クラスなら余裕で倒せる。だが、あの護衛対象は……」
と、エインとゴーズがサガミ遺跡を後にる。
「ま、サガミ遺跡の化け物と魔物たちを狩り尽くしたら、もう一度来て見ようじゃないか、あの二人がどれだけ強くなったか知りたいしな」
ゴーズのその言葉に、エインは異議を唱えなかった。
一方 、エドワード達は洞窟の奥へと進んでいった。
「そういえば、ケビンさんはサガミ遺跡について何か知ってることはありますか?」
俺は歩きながら質問をした。
「うーん、私が調べたことだと古代文明は魔法や錬金術などを研究していたらしいです」
「へぇ、そうなんだ……」
(なんか意外だな……もっと科学的なものを想像してたけど)
「他にも色々なことがわかっていますよ」
「例えばどんなこと?」
「まずは、この世界とは別の異世界があることが分かりました」
「ふむ、なるほどね」
「あとは、魔物を人工的に作り出すことが出来たなども分かってます」
「ほぉー、それは凄いな」
(あれ?ちょっと待てよ……それってつまり……)
「ちなみにその魔物を作り出す方法は?」
俺は恐る恐る聞いてみた。
「それが……よく分からないんですよね」
「えっ?」
「どうにも、資料などが残されていないらしく、まだ詳しいことまでは分かっていないのです」
「そ、そうですか……」
「ただ、最近になって新たな情報が分かったみたいなんですよ」
「へぇー、一体なんなの?」
「なんでも、遺跡から『魔導書』が見つかったみたいです」
「ま、『魔導書』!?」
俺は思わず声を上げた。
「ええ、私もその本の解読された数枚の紙束を読みましたがとても興味深い内容でした」
「マジですか……見てみたかったな」
「残念ながら、今はその本を研究者が持っていってしまったのでもう見れませんよ」
「そうですか……」
俺は少し落ち込んでしまった。
「そんなに落ち込まないでください。また新しい本が出たら見せてもらいましょうよ」
「そうですね、そうします」
「おっ、分かれ道だな」
俺は目の前にある二つの通路を見て言った。
「どっちに行きますか?」
「うーん、左かな」
「了解しました」
そして、俺達は左側の道を進んだ。
しばらく歩くと広い空間に出た。そこには大量の本が棚に入っていた。
「おお、これはすごいな……」
ケビンは大量の本をみて感動をしているのか急に口数が少なくばり挙動が不審になっている。
「そうですね……」
「とりあえず手分けをして使えそうな道具や本探そう」
「そうしましょう」
2人で協力しながら探索したがなかなか見つからなかった。
(やっぱり、ここにはないか……)
そう思いながら部屋を出ようとした時、ケビンが急に叫び出した。
「ありました!」
「ほんとか!?」
急いで駆け寄ると確かにそこには目的のものがあった。しかし……
「これ、表紙だけじゃん……」
そう、中身は入っていなかったのだ。
「こりゃあ、骨折り損のくたびれ儲けだな……」
(でも、この絵はどこかで見たことがあるような気がするんだよなぁ……)
「仕方ないですね……」
「そうだね……」
「では、帰りますか」
「ああ、そうしようか……」
そう言って俺達は元来た道を戻ろうとした。その時……
「危ない!」
ストークさんが叫んだ。その瞬間、俺達がいた場所に無数の黒い矢が降り注いだ。
「なんだ!?」
「敵襲です!早く逃げてください!」
「わかった!」
俺達は一目散に逃げ出した。すると後ろから足音が聞こえてきた。
「追ってきているぞ!このままじゃ追いつかれる!俺が時間を稼ぐから先に行ってくれ!」
「そんな、無茶です!」
「大丈夫だから、先に行っててくれ」
「わかりました……必ず生きて帰ってきてくださいね」
「ああ、約束するよ」
「では、行きますよ」
「はい」
こうしてストークさんは引き返していった。
「ミトゥース殿も急いで撤退を!」
「いえ、私は此処に残ります」
ミトゥースの言葉に慌ててしまう。
「な、何を言っているんですか!?死にたいのですか!?」
「ああ、そうだな。私は死ぬかもしれない」
「なら、どうして!?」
「俺は、あの黒い奴らの正体を知っている」
「えっ!?それはどんな奴なのですか」
「奴らはゴーレム兵、中大より西にある国で創られた魂のない兵士だ」
「そ、そんな……まさか……」
「信じたくない気持ちは分かる。だが、現実だ」
「……ッ!貴方はどうするつもりなんですか?」
「俺は戦うつもりだ」
「無理です!絶対に勝てません!」
「やってみないとわからないさ」
「いいえ、分かります。それに貴方は私達のために戦おうとしているんでしょう?」
「まぁ、そうなるな」
「それなのに、私が貴方を置いて逃げるわけにはいきませんよ」
「そうか……ありがとう」
「いえ、当然のことですよ」
「それじゃあ、行こうか」
「ええ」
そして、俺達は戦いを始めた。
〜side ストーク〜
私はケビン・ストーク、フーリーの魔法薬研究者を装ってはいるが、実はこの国の麿に仕える魔導博士だ。
今は遺跡調査のため、冒険者を雇って一緒に来ている。その冒険者というのがエドワード殿とミトゥース殿という方々だった。
最初はあまり頼りにならないだろうと思っていたが、2人は遺跡探索の事を良く知っているようで次々と仕掛けを躱していく。正直、私よりも遺跡に詳しいのではないかと思ったほどだ。
私達は遺跡の調査途中でゴーレムに襲われてしまい、バラバラになってしまった。そして、私だけがなんとか逃げ延びることが出来たのだ。
それからしばらく歩き続けていると、目の前に大きな扉があった。おそらくこれが出口なのであろう。
私は一刻も早く皆と合流したかったのですぐに開けて外に出ようとした。しかし、鍵がかかっていて開かなかった。
「くそ、こんな時に!」
焦る私の目に、近くに倒れていた木箱が映った。
(これで壊せるかもしれない!)
そう思った私は近くにあった石を使って破壊を試みた。
「せいやぁー!!」
ガキン!!
「駄目か……」
予想通り頑丈だったので諦めかけたその時、ある考えが浮かんだ。
(待てよ?確か、この国は魔力で動く物があると聞いたことがあるな。もしかすると、これを動かすのに必要な道具が入っているかもしれない)
そう考えた私はその箱をこじ開けた。その中には……あった!
「よし、これで開くはずだ」
そう言って私はナイフを突き立てる、この箱を開けたことによってどうなるか露知らず。
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