第21話

21話



私達は全員部屋で集中し武器のメンテナンスをしている

それもその筈、これは6時間前

私達がアレクセイ隊長に呼ばれて施設の地下の会議室に呼ばれた時の話




「失礼します、」


ニコルを先頭に重厚感のある扉が開かれると中央円卓からは周囲の地図がホログラムとして浮かんでおり


周りには私達と同じ様に集められたと思われる部隊の人達が立っていた

一番奥には軍帽に加え外套を纏っているアレクセイ隊長が立っている


「ニコルとその一行到着しました!」


ニコルからもいつものふざけた雰囲気が消え去り

何処か決意をしている様な顔をしている



「よく来てくれたな諸君」


アレクセイ隊長が口を開く


「先日の内乱の鎮圧ご苦労、企業の経営陣に変わって英雄である君達に感謝を申そう」


「さて本題だね、我々はあの内乱に紛れて攻勢を仕掛けていた白銀旅団の援軍を撃退し、奴らの司令部を特定した」


その言葉と共にホログラムが形を変え

長方形の何かを映す


それを見た者は皆顔を引き攣らせそわそわと落ち着きのない様子を見せる


あれは……


「諸君の想像は正解だ、奴らの司令部はこの宇宙船である」


知ってる

あの長方形の物体はポーツマス条約機構の保有する魔界の空で活動する為の宇宙船

それも戦いに特化している巡洋艦である


「諸君にはこれに侵入し各システムを乗っ取り自爆シークエンスを起動してもらう、危険だがこれが叶わなければ負けるだけだ」


「作戦については今から渡されるタブレットに個別の物が入っている」


アレクセイが手を叩くと控えて居た軍服の青年らが各部隊の隊長と思しき人物にタブレットを渡す


「作戦の実行は今日の夜、行うそれまで待機していろ」



そして現在

私達はいつでも出られる様武器のメンテナンスをしている


「もうすぐこの戦いも終わるのね〜」


ニコルがポツリと呟く


「勝てればだけどな」


ナギサが微笑む


「そう言えばナギサ、そのライフル……」


「あぁ、戦利品だよ」


「試し撃ちをして見たんだが妙に体に合ってなスペアにしようと思ってな」


「へぇ……」


「敵の武器を使うなんてロマンね〜」


そうしているとドアがノックされる


「おっそろそろかな?」


ニコルがドアを開けると

会議室で見た将校が立っており私達を一瞥すると頷く

私は武器を持ちニコルに付いていく


「これは……」


そのまま外に出るとけたたましい音を立てながら浮遊している輸送機が4つ程見えてくる


「あれに乗るのね……」


「うん!あれに乗って行くんだよ!」


「もしかしてセレナ緊張してるのか?」


ナギサが私を肘で突く


「そ、そんな訳……」


「分かってるさ」


将校に促されるまま私達は輸送機に乗り込み備え付けられていた椅子に座る


「シートベルトを付けろ!」


輸送機の戦闘の方を見ると


ローラン!?


先頭に居たのは私達をここへ連れてきたローランだった

最近見ていないから死んだと思っていたが

生きていたとは、知り合いが生きているのは嬉しい事だ


全員席に付いたところでローランが口を開く


「我々はこれより空高く上空の敵巡洋艦ブリッチ付近へ突撃する」


「艦内に侵入できればブリッジ付近を占領した後ブリッジに居る管理者を撃破、管理権限を手に入れえ船の操作を行い自爆シークエンスを起動せよ」


ローランが口を閉じると共に輸送機が大きく揺れ

上昇し始めている事が分かる


それと共にローラン周辺の壁や床の色が薄くなり外の風景が見え始める


綺麗……

輸送機から見える景色は普段見ることの無い山岳が見える



————5分後


事が起きたのは輸送機に揺られてから5分後

耳に残る警報音と共に後横を飛んでいた輸送機が突如発火し爆発


破片を撒き散らしながら墜落する


「衝突にそなえろ‼このまま突撃する」


ローランの声に私達は周囲の掴める場所を握る


次の瞬間

激しい揺れが起こり

なんと私を固定していたシートベルトが千切れ衝突と共に私は壁に頭から特攻した



再び目を開けると警報音が鳴っている


「いたたたた……」


頭を抑えながら立ち上がると目の前に通路が見える


「起きたね」


「ユキ?私気絶してた!?」


「まぁ少しね、2分くらいかな」


「皆は?」


「ローランとメアリーは操縦室で支援を、ニコル達は既に出てるよ」


「そっか……なら私達も行こうか」


「うん」


私は杖を持ち通路の先へと進む


赤いランプに照らされたT字路の地面には白銀旅団の装備を着た魔人達が倒れている

ニコル達がたおしたのだろう


「どちらに行こう?」


「ん〜わたしはこっちが良いと思うな」


ユキの指差す方向には破壊された扉があり後ろでは何かの話超えが聞こえる


「行こうか」


私達は走った

想定通り

武装した魔人らが沢山居り

こちらを見つけると銃口を向ける


「私が攻撃するからユキはあいつらを!」


「承知‼」


ユキが走り出し周囲にいる魔人を引き付けながら斬り付ける


「ふぅ……」


私は深呼吸しながら杖を構え魔力を流し込む

そして発射する


杖から放たれた魔力の塊はユキに気を取られた魔人らを吹き飛ばし周囲を一掃する


「流石だねセレナ」


「ありがと、先に進もう」


私達は魔人らの防衛を突破しながら階段を上がり上階に進む


「あ〜あ〜聞こえる?セレナ?セレナ?」


トランシーバーが起動しニコルの声が響く


「ニコル?聞こえるよ!そっちはどこに?」


「私達は下の方に居るよ!そっちは……多分上だね」


「そうだね」


「ブリッジは上方向にあるだろうね、私達は下を占領してから上に行くからブリッジ周辺まで行っといてくれるかな?」


「任せて!」


「よし!」


トランシーバーを切り


私達も通路を1歩また1歩とブリッジへ歩を進める







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