第20話

20話



乱闘開始から5時間後

私達の奮闘もあり施設は陥落せず援軍到着まで持ちこたえた事で鎮圧


白銀旅団の援軍も討伐出来た



そして私達は野戦病院へと足を運んでいた


「ナギサ、居るかな……」


「居る事を信じるしかないよ」


私はニコルを宥めながら野戦病院の待合室ででナギサが運ばれていないか

調べてもらっている


「セレナさん?見つかりましたよ!」


「本当!?」


ニコルはさっきまでの空気は何処へやら目を輝かせて伝えに来た看護師の肩を掴んでいる


「まぁまぁ、お腹も撃たれてるんだから落ち着きなよ〜」


ここ数日過ごして分かったけど……

ニコルは……元気過ぎる‼


初対面の時から明るいとは思っていたけど想像以上に明るい……

それでいて掴めない……


「えぇ〜セレナは心配性だなぁ……これくらいの傷で〜」


「これくらいって……臓器傷付いてるんだから回復するまで休まないと……」


「大丈夫大丈夫!40分で回復したから‼」


生命力も強い‼

ニコルの性質はこの強さと生命力の強さのお陰だろう


「まぁ分かったよ……行こっか」


「そうだね!」


私達は看護師に案内され野戦病院の内部へと入っていく


カーテンで囲われた簡易的な仕切りが沢山ある場所で看護師が立ち止まりとあるカーテンを開けると中には



「何やってるんですか!ナギサさん!」


ナギサが自ら、何処かで手に入れたであろう糸で怪我を縫おうとしており


それを見た看護師は驚愕し

ナギサの腕をがっしりと掴み止ようとしている


それなのにナギサは何処か幸せそうな顔をしているのは何故なのだろうか、

私には理解出来ない何かがナギサの中で解き放たれている様な気がする


「戻ろうよニコル……」


私は何故かナギサを見て驚愕にも微笑みにも見える妙な表情で固まっているニコルの手を引っ張り野戦病院を後にするのだった——




その日の夜


部屋のドアが開けられ少年兵に連れられ松葉杖を付くナギサの姿があった


「ようやく帰っきたのね〜」


真っ先にニコルが反応し立ち上がる


「あぁ、心配させてしまったな」


「まぁ重傷じゃなくて良かったよ」


「本当ですよ-」


「ホントにね」


私達は安心の混じった優しい笑みでナギサを迎え

ナギサも達成感に満ちた表情をしている


「あっ」


私はある事を思い出しベットから飛び降り


先程届いた荷物をナギサへ渡した


「これは……」


荷物の中には分解された紅く大きなスナイパーライフルが入っていた


「ん?そこに何か挟まってない?」


ニコルが荷物の奥の方に挟まっている紙引っ張り

皆で覗き込む


「え〜ナニナニ?ナギサ宛じゃない?これ」


「私へか?」


紙にはナギサ宛と書かれ

中身はナキザの撃ち抜いた敵狙撃手の物である事が書かれている


「これが……」


ナギサは静かにライフルを手に持つ


「どう?」


「あぁ……素晴らしい物だな」


ナギサが恍惚とした表情で戦利品を見つめている

こんな表情初めて見た……


そうやって各々過ごしているとアナウンスが流れ始める


「夕食の準備が整いました、点呼が完了した部屋から食堂へお集まりください〜」


「行こっか!」


ニコルの号令と共に私達は立ち上がり部屋を出て食堂へと向かう——






「これが……食堂?」


「なんか前よりも豪華ね……」



食堂は昨日来た時よりも彩られており

食事も昨日よりも豪華な物へとなっていた


「食糧庫でも開放されたのかな?」


「でも何故だ?」


「まぁまぁ、今はそんな事考えなくても良いじゃないですか!頑張った自分達にご褒美をあげましょう!」


「そうだな!」


ナギサを先頭に私達は各々料理を取り食卓へと座る


「いやぁ〜美味しそうな料理が多くて困るな〜」


そう言うニコルのお盆にはうどんや寿司、皿にたっぷりの載せられたロブスターがあった


「ニコルって海鮮系食べれるのね」


「勿論‼海鮮は好きよ?海は見たこと無いけどね」


「ところで〜ナギサは何を持ってきたの?」


ナギサのお皿には大量の肉と言う肉が盛られている

肉に刺されているフォークを勢い良く掴むと一気に口へと持っていき噛み千切り幸せそうな顔をしている


「ユキは?」


「わたし?わたしは……」


ユキの皿はエビフライが大量に盛り付けられており横にわかめスープがぽつんと置かれている


「メアリーはどう?」


「私ですか?」


メアリーのお盆を見るとカレーライスや炒飯が置かれている


「それじゃあ食べようか」


ニコルの号令と共に私達は各々の料理に手を伸ばした




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