第21話

温かい飲み物で体を温めた後、莉子と里子は、こたつから出て雪が降りしきる夜の外へと足を踏み出した。静かに降り積もる雪は、街全体を柔らかな白で包み込み、周囲にはどこか幻想的な静寂が漂っていた。


「こんなに静か。」と、雪の上に軽く足跡を刻みながら莉子が言いました。


「ほんと。雪が降ると、街も別世界みたい。」里子がふと見上げると、街灯の光に雪が淡く照らされ、まるで宙に浮かぶ小さな星々のように見えた。


二人は雪の中をゆっくり歩き、凍えるような寒さもどこか心地よく感じた。粉雪が舞い落ちる静かな夜の空気に包まれ、二人は時折手を伸ばしては雪を手のひらで受け止め、降り積もった雪をそっと触れて楽しんでいた。


「この景色、写真に撮りたいくらい綺麗だよね。」莉子がスマートフォンを取り出しましたが、ふと立ち止まる。


「そのままの方が特別かも。」里子が笑顔で応え、二人はその瞬間を心に焼き付けるように、夜の静かな雪景色を見つめた。


しばらくして、二人は宿の前のベンチに腰を下ろしました。白く染まった世界にぽっかりと浮かぶように見えるベンチに座り、雪が降る夜空を見上げる。


「将来、またこんな静かな夜を一緒に過ごせたらいいな。」莉子がぽつりとつぶやきます。


「思い出、増えるといいな。」里子が優しく答え、二人は穏やかな微笑みを交わし合った。


宿の部屋に戻ると、莉子と里子は温かいお風呂に浸かって冷えた体を温めた。窓越しに見る雪景色が、湯気に霞んでさらに柔らかく見え、ふわりと心がほぐれていくような感覚に包んだ。


湯から上がった後、二人は宿のリビングで焚き火を囲む。


「明日は、また違った雪景色が見られるといいね。」


「きっと、もっと綺麗だよ。」里子が静かに答えた。


窓の外にはまだ雪がしんしんと降り続け、静かな夜の雰囲気が部屋全体に満ちていた。莉子と里子は、今日の楽しい思い出に心が満たされながらも、どこか緊張した空気を感じている。


「今日は本当に素敵な一日だったね。」里子が少し照れくさそうに話しかけた。


「うん、ずっと忘れないと思う。」莉子が優しく微笑みながら応じる。


二人はベッドに腰を下ろし、そっと互いの手を握り合った。いつも近くにいる存在が、今はどこか特別な距離に感じられた。静かな夜の中で、雪の音さえも聞こえないような静寂が二人を包む。


「…これからもずっと二人でいられたらいいな。」と、莉子が少し恥ずかしそうに言った。


里子は小さくうなずき、莉子の手を少しだけ強く握り返した。視線が交わり、温かな気持ちが自然と二人の間に流れ込む。世界から隔てられたようなこの瞬間、二人はそっと近づき、互いのぬくもりを感じながら、静かに抱き合った。


その夜、二人は言葉少なに、ただ互いの存在を確かめるようにそっと寄り添い、雪が降り続く穏やかな夜を一緒に過ごした。

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