概要
古いレコードの魂は美しい乙女の姿をしていた……
「貴方」は古道具屋から「スナイエのアリア」というバイオリンの演奏曲が入っているレコードを買ったが、しばらく部屋の片隅にしまっておいたままだった。注文して届いたプレーヤーにかけてみるとレコードは女性の声で話し始め、やがて声の主の美しい姿までも現し始めた。ビロードの服に絹のような長い髪をした女性だった。
レコードの乙女は「アリア」と名乗り、貴方とのやり取りから様々な事を学習し喜びを見出していく。
貴方の手に触れて体温を感じることを喜び、レモネードを飲むとグラスの質感に感動し、レモネードそのものを味わい、その味わいに自分は恵まれていると感謝をあらわす。
浮かべられた氷にかつて店の窓から見た、空から降った雹を連想する。その時、悪天候を避けて店に入った貴方の事を見てからずっと想っていたとアリアは言う。
レコードの乙女は「アリア」と名乗り、貴方とのやり取りから様々な事を学習し喜びを見出していく。
貴方の手に触れて体温を感じることを喜び、レモネードを飲むとグラスの質感に感動し、レモネードそのものを味わい、その味わいに自分は恵まれていると感謝をあらわす。
浮かべられた氷にかつて店の窓から見た、空から降った雹を連想する。その時、悪天候を避けて店に入った貴方の事を見てからずっと想っていたとアリアは言う。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!一枚のレコードから始まる恋物語
時代が進み、レコードはおろかCDショップですらも街から消えゆく昨今。
あえて恋物語の主役をレコードに託し、一曲のアリアが演奏されている間にヒロインと男性の恋物語をサクッと始めてきっちりとまとめあげる技量は実にお見事です。
衣擦れの音、レモネードやコロンの香り、お互いの身体が触れあう感触、飲み物の味、そして流れ続けるアリア。この作品は人間の五感で受け止められるもの全てを言語で表現したもの、それも詩的かつ耽美に表現しようと挑戦したものに感じられました。ここで奏でられる恋の歌はどこまでも美しく、切なく、そしてレトロなのです。
お互いに体重を預け、髪をなでるだけで通じる想いもある。
そんな素朴で純…続きを読む