23編目 雲雀と椿
春のどこまでもどこまでも広い空間
その上へ上へ啼きながら飛翔していく
その下へ下へ紅い花を落下させていく椿
春のどこまでもどこまでも広い空間では
そのような雲雀と椿の負けず嫌いな両者の
密かな密かな競争が行われているのではないだろうか
そして雲雀が飛翔する上側と椿が花を落とす下側とは
どこかで密かに密かに繋がっているのではないだろうか
つまり不意に雲雀が地中を潜り抜けて
つまり不意に椿が青空から無数の紅い妖精のように降ってきたり
例えばそんな摩訶不思議なことも起こりうるのではないだろうか
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