とある国コロシアム(5/5)
「さっさとここから出て次の旅に行きたいな」
「そうですねぇ、師匠」
二人は鍵を拾って、出口であろう場所を目指した。
「陸、これはもしかして?」
「多分そうですね」
二人は壁の色に近い色の鍵穴と、その横にある黒い鉄製のドアを見つけ出した。
陸は鍵をベルトのポーチから取り出して鍵穴に差し込み右に捻った。
「空いた」
扉がゆっくりと開いた。
中に一切明かりはなく、暗い空間と足元に階段が見えた。
「人の気配はないけど一応懐中電灯は持ってね」
陸と師匠はそれぞれの右手に炸裂弾入りの拳銃、左手にはライトの布陣、で中に入っていた。
二人はしばらく階段を降りた。
「長いですね」
そんなことを言うのも束の間、最下層に着いたのか階段が終わった。
「ここは?」
陸の言葉が合図だったかのように部屋の明かりが全て点いた。
「!?眩しい」
光が灯った部屋の壁一面には夥しい数の鉄屑が積まれていた。
その鉄屑は、色とりどりだったはずの鉄屑を押し固めて積み上げてあった。
「この鉄屑は?」
「番号が書いてある鉄屑があった」
師匠は一枚の歪んだ鉄板を持ってきた。
「機体番号ですね」
「ふむ、素晴らしい」
突然上から別の男の声が飛んできた。
パス!パス!パス!
師匠は右手の拳銃を上に上げて3連射。
「なかなか手応えはありそうだ」
上にいたはずの男はいつの間にか床にいて、その手には長銃身化され、銃剣が取り付けられたMTs255が握られている。
「じゃぁ、死ね!!」
拳銃よりも一回り大きい爆音が1回。
「遅いんだよ」
相手は長銃身で取り回しに不利と踏んだのか、師匠は腰からナイフを逆手に取り、相手の二の腕目掛けて飛んだ。
「あぶね」
男は手の甲でナイフを避けながら、横に走った。
その隙を逃さず陸が発砲。
「二人、まあ別にいいか」
MTsを陸に向けて一発。
師匠は男の左に、陸は斜め右に走った。
男は勝てると思ったのか遊び半分に二人に向けて2連発。
陸と師匠もすかさず反撃。
「ふむ、なかなかやるな」
残りの弾を終わらせる程度の軽さで一発撃って、男は弾倉をスイングアウト、このためだけに作られたスピードリローダーで弾を装填。
「この程度か?」
陸は一発。
こちらもスライドストップが掛かり、弾倉を落として新しいものを叩き込みストップレバーを下げる。
「こいよ!」
男がMTsのグリップに仕込ませておいたスイッチを押し込んだ。
今まで付いていた電気は全て消え、男はMTsを天井の四隅に撃った。
「!?」
MTsの銃口から眩しいほどの真っ白な光を放った。
「特製の照明弾だ、どうだ?明るくなったろう?」
「明るすぎるくらいだよ!!!」
師匠の拳銃から今度は赤黒いマズルフラッシュが光り、男の右耳に大きな穴を開けた。
不発だったのか、炸裂弾は炸裂せずにそのまま壁にめり込んだ。
「………炸裂弾か」
男は今ので解ったのか、炸裂弾だと言いうことを見抜いた。
「あり?ばれちった〜?」
師匠は馬鹿にするように返した。
「ふん、どうせ生かして返さぬつもりだ」
そう言いつつ男はMTsをまたリロードした。
「そろそろ次の旅に行かせてくれる?こんな場所で時間を取られたくないからね」
「じゃあ、俺が今すぐに空に飛ばしてやるよ」
「........一つ提案いいか?」
師匠が男に申し出た。
「ああ、いいぞ、俺ができることならば」
「陸を飛行場に連れていってくれないか?こんな国からさっさとトンズラしたいし、整備も必要だ」
「ふむ、それくらいならば」
男は壁を背に移動して、壁のスイッチを押し込んんだ。
その隣の壁がスライドして奥に通路が続いた。
「この先が飛行場だ、安心しろ、嘘は嫌いだからね」
師匠を邪魔してはいけないと考えたのか、何も言わず陸はさっさと飛行場に走り出した。
「さて、一対一だ」
「ここは一つ、恨みっこなしのコイントスで決めないか?」
「.......頭わいた?」
「わいてねぇ!」
「まあやってやろうじゃないの」
「じゃあ投げるぞ」
二人は対面し、じっと睨んだ。
コイン一つ上に投げられた。
地面に落ちる瞬間、MTsがわずかに早く上がり引き金が絞られた。
MTsの銃口からダブルオーバック弾が発射され師匠に向かって進む。
師匠の口角がわずかにあがり、歪な笑顔が浮かべられた。
「おしまいだ」
散弾を一発肩に受けながら、師匠は拳銃をガッチリ保持し、寸分違わぬ正確さでMTsの銃口に向けて発砲。
勢いよく撃ち出された炸裂弾はMTsの銃口から銃身に入り、奥の機関部に着弾し粉々に銃の心臓部を爆散させた。
「!?」
手に持っていた得物が爆散し、両手はハリネズミのようになって倒れた。
「君、もしかして強かったり?」
男の手はボロボロなものの、それ以外はあまりダメージはなのか男は師匠に問う。
「ああ、元々……いや、いいや」
「元々?」
「ああ、元々ね………」
師匠はしばらく男と話し込んだ。
「どこから来たんだ?」
「ここから北の方にある遠い国からだよ」
「その国はまだあるのか?」
「いいえ、自分がこの手で全て終わらせましたよ」
「終わらせた?」
男は首を傾げた。
「それでは自分はこれで」
「おい、待ってくれよ!」
師匠は振り返らずに飛行場に向かった。
出口の扉を開けると、目が痛くなるほどの青い空と白い雲が駆け抜ける飛行場に出た。
「師匠、今すぐにでも飛べますよ!」
とっくに全ての工程が終わった陸が本を読んでいた。
「遅れてすまないね、さあ出発だ」
二人は飛行機に乗り込んで、滑走を始め大空に駆けて飛び去った。
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