第10話

すずかが話を続ける。


すずか「例えば、猫って意外と感情を表に出すのが得意なんだよね。人間だって、感情を上手に表現できるとき、すごく他の人とコミュニケーションがうまくいくでしょ?猫の社会では、鳴き声や仕草で感情を伝えるんだけど、それがまた微妙で絶妙なんだ。」


仁奈「なるほど、猫ってほんとに繊細なんだね。どうして、すずかちゃんは猫とそんなにうまくコミュニケーションできるの?」


すずかは少し照れたように笑って、猫のミミを見つめた。


すずか「それはね、ミミが最初に私に教えてくれたのは『自分の気持ちを信じること』だった。」


知「ふーん。」


すずかは少し照れくさそうに笑い、ミミを抱き上げた。


そのとき、ミミがすずかの腕の中で小さく鳴いた。すずかは優しく撫でながら、ミミに向かって話し続けた。


すずか「ミミ、これからも私にいろんなこと教えてね。」


仁奈と知は、すずかが猫と話す姿に、その温かい関係に感心していた。すずかが猫たちと過ごしている時間は、彼女にとってとても貴重で特別なもので、猫たちとのやり取りが彼女を成長させ、また優しくしているように感じた。


すずか「猫たちって、すごく真実を教えてくれるんだ。彼らが教えてくれるのは、心の使い方や、他の存在との調和の取り方だと思う。」


仁奈「ふーん。」


知「私も、猫たちの世界に少しでも触れてみたいな。」


すずかは少し驚いた顔をした後、にっこりと笑いながら言った。


すずか「大丈夫、知ちゃんも仁奈ちゃんも、十分素直だよ。」


そして、すずかは少し真剣な表情で、猫の教えについて語り始めた。


すずか「猫たちの社会って、実はすごく礼儀に厳しいの。」


すずか「猫の場合、威嚇や態度で示すことが多いけど、人間の場合も同じ。嫌なことは嫌だと、ちゃんと言わなきゃいけない。でも、その伝え方には礼儀が必要なんだよ。」


知「『嫌い』って感情をちゃんと表すこと、それが礼儀だってこと?」


すずか「そう。」


その話を聞いた仁奈と知子は、しばらく黙って考え込んだ。猫たちの社会が、単に生きるためだけでなく、感情や心の在り方をも大切にしていることが面白く思った。

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