第15話

数年後。朝日が部屋の空気を淡い光で満たして………新しいアパートのリビングには、シンプルながらも二人の個性が反映された家具や雑貨が並び、穏やかな生活の始まりを感じさせる。


キッチンでは、理科がコーヒーメーカーのスイッチを押し、古琴がトーストを焼いていた。パンが焼ける香ばしい香りが広がり、コーヒーの湯気がゆっくりと立ち上る。


理科がカップを手に取りながら古琴の話を聞く。


「私、スポーツ科学の授業が待ち遠しい。実践と理論を結びつけて、もっと深く学べると思う。」

古琴は、焼きあがったトーストを皿にのせながら答えた。


二人はテーブルにつき、朝食をとりながら新生活について話し始めた。理科は水泳部の練習メニューを古琴に見せ、今日のスケジュールを説明する。古琴はノートを開き、授業の内容や研究テーマについて熱心にメモを取りながら、それぞれの期待を語り合った。


二人にとって大学は、新しい知識を得る場であると同時に、自分たちがどのように生きていくのかを見つめ直す場でもあった。水泳という競技を通じて自分の限界を試す理科。スポーツ科学の研究を通じて新たな可能性を探る古琴。


朝食を終えた二人は、それぞれの準備を整えた。理科はスポーツバッグを肩にかけ、古琴は教科書をリュックに詰め込む。


「じゃあ、私はこれから授業に行ってくるね。」


「うん、気をつけて。私も水泳部の練習に行ってくるよ。」


「お互いに頑張ろうね。」


「うん、また後で。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

しあわせになれる魔法 紙の妖精さん @paperfairy

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ