春が魅せる君

@tenchou

プロローグ

季節は絶えず変わっていく

季節が流れていくのに足並みを揃えるように街の景色も変わりゆく

それは人も同じでいつまでも同じ時を過ごせるわけはなく、季節とともに成長し、子供はいずれ大人へとなってゆく

だからこそ人との出会いはほんの少しタイミングがズレるだけで、違った関係に、もしかしたらその出会いすら生まれないこともある

春夏秋冬の中で春は出会いと別れの両方の側面をもつ

俺は春が好きだ

新たな出会いがあると思うとワクワクするから

気が合わなかったヤツと別れられて気持ちが楽になるから

学生の時期というのも季節と共に過ぎ去ってゆく

いつまでも学生でいることなんてできるわけはない

人生の中での学生期間なんて、桜が散っていく早さと遜色ない

そんな限られた時間の中で学生は色々なことに精を出す

学業、部活動、進路に向けて探求活動

……恋愛

穢らわしい

貴重な青春を色恋沙汰なんかに費やすなんて、愚の骨頂である

大体恋愛なんていうものは大人になってからでも————

「お前さ、ホント捻くれてんのな」

と思わぬと言ったら嘘になるが、耳障りな声が僕の大事な、important な主張を遮った

「別に捻くれてなんて無いよ」

といい、続けて

「大事な青春をそんな色恋に費やすなんて時間の無駄だと思わないかい!それにそれにそんなことして、学業に支障が出たら———」

とここでまた

「ねぇ、俺はいつまでここでそのお前のどーでもいい捻くれた意見を聞かされるんだ?」

とまたしても僕のimportant な主張を遮られた

彼は壁に掛かっている時計を確認して、何やらソワソワしていた

部活動かと疑ったがそれはないだろう

時刻は15時50分

部活動が始まる時間は16時からだからまだ10分は話せる

それに彼は部活動はやっていないはずだから、その心配はしなくて良いはずだ

「なんで、そんなに急いでるんだ?どうせこの後暇だろう?」

と試しに聞いてみると

「暇なわけあるか!」

と予想外の返答だ

続けて、

「この後、カ・ノ・ジョとデートの約束があんだよ」

とさっきまでの僕の主張を一切聞いていなかったかのようなバカな回答までついてきた

「だから、残りは一文に要約してくれ、時間が惜しい」

と言われる始末

要約は苦手であったが、ちょうどいいたい事を一文に凝縮することができた





リア充は桜のようにさっさと散って、死んでしまえ





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る