ファンタジーにミステリー、SFに青春にショートショートとなんでも書ける作者様。いろんな文体で書けることが凄いんですが、高貴なエリオールに想いを寄せるチェンバロ奏者のヒロインの繊細な情景描写、心理描写が美しい短編です。冒頭の情景描写とチェンバロの演奏シーンに臨場感があり、とても美しかったです。そしてチェンバロはなかなか触れることのない楽器なのでこんな楽器なんだ!と読んでてワクワクします!
さて、ヒロインとエリオール様はこの後どうなったでしょうか? チェンバロの余韻の中でロマンチックなひと時を過ごしていることを願って。繊細な文章に心が清らかになる一作でした!
チェンバロ奏者のヒロインが奏でる音の響きが、きらきら輝く絵画を見るように心に届く——そんな美しい文章で綴られている。
博識で文芸に精通される作者樣の表現力はすばらしく、ヒロインの淡い恋心を繊細な言葉の旋律(メロディー)に乗せて読み手に伝えてくれます。
演奏の先にある、憧れの人との未来を信じるヒロインの心が甘く揺れて……なんとも切なくもどかしい。
憧れの人はどんな心で、どんな顔をして彼女の演奏を聴くのだろう。
早く聴かせてあげたい……読み手にそんな気持ちを抱かせながら、明るい未来へと余韻を残すラストとなっています。
蛇足になるのかもしれないけれど、演奏後の彼女と憧れの人の姿を覗いてみたい。
そんなもどかしい余韻も、この作品の魅力の一つなのかも知れませんね。