知らぬ人

 何故だか理由は分からないが、知らぬ人に話し掛けられる事がよくある。私はそんなに、他人から親しみやすく見られているのだろうか。

 敵意を剥き出しで近寄る輩であれば全力で排斥するのだが、そうではないから余計に困ってしまう。

 馴れ馴れしく話し掛けて来られても、中身の無い話しかされないので、こちらとしては困惑するしかない。そんな下らない話は他人に言わず、自分の日記帳にでも書いておけと言いたい。

 馴れ合いというのは、余程親しい人間にだけ通用するものだ。何故見知らぬ他人から馴れ馴れしい物言いをされねばならぬのか。見ず知らずの赤の他人なのは明白なのだ。そんな口の利き方をされる筋合いは無いし、こちらとしても相手をする義理は無い。

 図々しい、その一言に尽きる。お前の下らない与太話を聞く程に、私は暇を持て余している訳では無い。何故私が見ず知らずの赤の他人に、極めて下らない話で時間を奪われなければならないのか。

 その様な輩に遭遇すると、例え一分一秒を争う火急の用事が無くとも、速やかに解放されたく思う。時間の無駄でしかないのだ。

 町を歩けば他人と擦れ違う。商店へ入れば、知らぬ人ばかりが溢れかえっている。一々見知らぬ他人を気にするのだろうか。普通に考えれば、何も考えずに擦れ違うだけだろう。稀に見る挙動不審者ぐらいしか気にしない筈だ。

 見知らぬ他人に話し掛ける者こそが、挙動不審な怪人物として扱われるべきではないのだろうか。そう考えるのが自然に思える。

 他人と関わる際に重要なのは、相手との距離感である。親しい間柄の者、それ程ではない間柄もあるし、仕事での上下関係もあるだろう。身内にだって上下関係はあるのだから、これは当然の話だ。

 それなのに、見知らぬ赤の他人へ馴れ馴れしく話し掛ける輩は、一体どういう思考回路をしているのだろうか。お前の事なぞ何も知らぬし、どのような人物なのか微塵も興味が沸かないのだ。極めて下らない、中身の無い話をされても迷惑でしかない。そのぐらいは、言われなくとも理解してもらいたいものである。

 まぁ、理解出来ないからこそ奇行に走るのだろう。阿呆に付ける薬無しとも言うし、対処としては適当に聞き流して深入りしない事だ。まともに相手をする必要は無いし、他に選択肢は無い。

 人が良さそうな顔をして近寄る見知らぬ者に、安易に心を許してはいけない。善人面の裏に、どんな悪意を秘めているのか分からないのだ。皆さんもどうか、お気を付け頂きたい。

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