E/N’07:“Heavenly Heralds”
——「まもなく、
セイエイは、
ナラヒア
「
「あゝ……
「
セイエイは
「
「
「セイエイ、
「うん、わかった。
ウエモンに
「
「
「
「……あ、ウエモン、一つ気になってるんだけど」
「日本の
「ン。
「……
「
「
「
其れが
「
「……」
「
「
「
「
「そりゃア、『
「見よ、ウエモン。
セイエイは
「
「——見てなかったの、ウエモン。
「
ウエモンが
「セイエイ、
「分かった……」セイエイは
「エ。もうか。……
頂きましたの
「セイエイ、
「分かった」
ナラヒア
「
「ぎり〴〵だったな」
——
「
「
「
ウエモンは
「今回はと言ったろう。今夜は、と言うべきだったかな。まあ、
「
「マ、シン……
セイエイが
セイエイは
——
「『
「いや」
「ハア。『
SL9とは、シューメーカー・レヴィ
——「
「お
「
「……
「シャワーカードは
「
「
こんなものは
「何だ」
お
「
「
「へえ。
「
「
だが……
「
「もう
——
お
「
「
「シューメーカー・レヴィ
「知らんさ。
「
「
「
チーム
「其の
「マア、然うだが……
「
「あの
セイエイは然う言いながら、
「あゝ、あれからまともに見ていなかったな。
「
「
「あゝ……」ウエモンは、
「
ウエモンは、
「父さん……」
だが、
「
セイエイは
「ねえってば。
セイエイは
「あ、
「あゝ、あゝ……」
「マコト」は、ひよいに
マコトの困惑の原因を自身の行動にあると勘違いしたひよいは自慢げに胸を張った。
「何う、マコト。『セイエイ』の観測が上手くいく様に、此処の神様達にお願いしてたのよ」
「ハア。……エ、ハ」マコトは何から問うべきか分からず、
「然うよ」
「何て事を……。あと、何時から……」
言い切る前に焦りに喘ぐマコトは、見知らぬ神に罰当たりな事をしたのではないかとの心持ちである。其処に、近づく神が一柱。其れは、文字であった。何を意味しているのか分からないが、其れが、
「
「ハア……あな、ア、……
「マコト
「三度まで……日本語の慣用句にお詳しい様で」
セイエイ……あ、間違えた。マコトの問いに、文字のテサノタは答えた。
「今の信者に日本語が分かる人が多いからね」
「ヘエ。然う言えば、マコトの母語って日本語って言うんだね」
ひよいの反応を見るに、何うやらテサノタが日本語を教えた訳でもない——思い返すと、ひよいとマコトとの
「日本語を知らなんだのか。ずっとひよいも日本語で喋ってる思っとったが」
「エヽ。わしはトクシマシカの口しか話さんよ」彼れの言から考えるに、トクシマシカの口、と云うのがひよいの話してきた言語名らしい。「……旅人の装置に翻訳機でもあったのかね」
「サア」
「ウミュミュ……」
考え込んで視線を下へやったひよいを見やっていたマコトは、立ち止まって
「日本語が分かるのに、我々を知らないとは、珍しいのもいるのね」空中に浮遊する赤いアノマロカリスが言った。一瞬、加熱された海老に見えたが、其れは言わないでおくとした。「アルノワーよ。私はマイナーだから、知っている人は少ない事に慣れてるわ」
「アルノワーさん……で、いいですかね」
「勿論、構わないわ。偶然とはいえ、折角だし、楽しんで頂戴ね」
アルノワーは飛んで、通り過ぎていった。其の様子は、海中を泳ぐアノマロカリスの復元図に抱いた心象と全く同じで、煌めく天井が海面から差し込む太陽の様だった。minorであるとアルノワーは言うが、此の神々自体がminorではないのだろうか。抑々、知名度は全くない筈である。
「ねえ、マコト。翻訳だけどさ……存在を仮定した方が都合がいいから、あると考えるわ。此れ迄旅してきた場処、気候も歴史も、風土もばら〴〵だったぢゃない」
「然うだね……」だが、マコトには翻訳機の存在を実際に確認する方法が思い浮かばず、暫し黙った。「ぢゃあ、此処を識ろうか。其の内、翻訳機の実在の手がかりも見えるかもね」
「エヽ……まあ、然うでしょうね」
「
AFNF。
「
「
「ブフォオ……ハヽ」テサノタは
「……」
「
然う、
「さア、先ず……
テサノタさんは
「マコト
「丁度いい。ネルチャガンさん、一つ、
「ナラヒア……」其の一言で、マコトから
「エッ。はい。ナラヒア
「
「
「ン…………ㇱゥ」
「……」
「実は此処で目覚める前の記憶が抜け落ちててね。マコト
助け舟を出すかと思われたテサノタの字幕に、マコトは困惑した。「セイエイ」の記憶から、此処が確実にマヒラ島である事は明白だと考えていた。遺跡もあるのだから今此処に居て
「誰か
「エエトネ。神話に精通してそうなのはお千代かな」
「あゝ、好いね」最早マコトはひよいに今更セイエイの事を何故知っているのか問う気も起きなかった。「丁度、何処かに居るでしょう」
「でも、今連絡したって……」
「其の手に握るものは何」
「え」マコトは其の時になって初めて右手に何かを握っている事を自覚した。持ち上げて見ると、「
——「……番号を教えます。寺内君の携帯電話を貸して下さい。電源が入ってさえいればいいですから。自分で書き込みます」
非科学的な動作をする桐三竹。約半日を共に過ごした相手との夕食では、彼れとの連絡先の交換をも行ったのだった。
——「はい、大丈夫です。繋がりたい時に繋がる様になりました」
桐三竹が此の携帯電話に対して行ったのは具体的な操作ではなく、胸に抱えると云う祈る様な動作だった。概して、仰々しい物言いをした桐三竹を、「セイエイ」は冗談だと流せずに居た。中でも地球人を意味する「同胞」は、桐三竹の中の言葉遣いでも独特だった。まるで過去の空想科学作品からやって来た様な、世界平和が完全に実現していると言わんばかりの口調——或いは無知を示していたのか……。
「マコト。構造から考えて、
「アッ、いかん〳〵」
「
「セイエイ。
「ネエ、
マコトには確かめようがなかったが、同じ頃、
「……精神干渉、なんて高度な芸当が出来るとは思えないけど」
「
懐かしい地名を読む運転手の声が聞こえるが、運転席は見当たらない。乗客の姿も見える様で明瞭でなく、輪郭だけが目に映る。其れはまるで、合成の際に
「要件があるなら早くして頂戴。安眠したいから」
お千代が発言したとほゞ同時に
「御免ね、夜遅くに」
セイエイ——を名乗る何か——の声が、お千代の脳裡に響く。夜遅くなのは確かだろうが、其れは西ローラシア大陸の時間帯(UTC-7くらいだろうか)であって、UTC+9の日本では日の
「……大分、夜も遅い筈だが……寺内もでしょう」
「然うなるね。
お千代は
「手短にね」
「わかった。実家の神社に就て知りたくて、御祭神、覚えてるか。教えて欲しい」
「エ。急に何うしたのよ……。実家の神社が新宗派なのは話したっけ……まあいいか、記録とかの神よ。昔からの伝統的な存在なの。筆名はテサノタよ」
「難有う」
お千代はバスの停留所の看板に
「我が……伝統的だってさ」
視界に文字が浮かび上がり、目を閉じても消えない。縦書きの達筆な文字は、巫女として必要に応じて文通するお千代が見慣れた文字だった。相手の名を何時も呼んでいる様に呟く。
「テサノタ……」
「難有うね、お千代。お礼は今度するよ。ぢゃあ、切るね」
「あ——」
呟きは拾われなかったらしく、お千代がテサノタに就て問い詰める前に、電話の様で電話でない会話は切れた。続けた所で、頭の中に直接話しかけられる感覚に耐えられたとも思えないが、然う思ったのは随分と時間が経って冷静になってからだった。頭の中を疼かせるセイエイを名乗る何かの声、而て激痛を伴う直接的なテサノタと思しき意識の二つが、お千代の感受だけでなく理性をも支配しようとしていた。
電話が切れ、次第にテサノタの文字が消え去る。代りに、遺物を排除する為の涙が溢れ始めた。
「何うしてテサノタが居たんだろうな」
墨の様な涙を流し切ると、服の汚れも気に留めず、お千代は立ち上がり、周囲の景色を眺めた。旅の中で見た夢の場所は此れ迄、恐竜の居る森など、突飛なものが多かった。併し今回は、まるで既視感の塊である。矢張り、お千代は此処に来た覚えがある。谷間の村を囲む竹林と針葉樹林との景色を鑑みる。運転手の居ない乗合自動車で聞いた、
「何うやって帰ろう……」
其の呟きに
「案外速いんだね」
「然うね……」
其処に、
「
「お千代、安心しなさい。今は辞めてる元職員だし、直に体験された方だから」
少年をお千代と呼んだ若人の声で、
此の日は、狐に関する話を聞いたのだったか。随分と昔にあったと云う仮乗降場の設置に際して、狐と遭遇したと云う関係者が居たとかだった覚えがある。
「狐さん、ねエ……」
「オヤ〳〵——私を呼んだかい」
其の時、お千代の耳に囁く声があった。お千代が見ている
「見るにイ……君は、七十二丁目神社の
背後を振り返ると、其処には妖しい狐が居た。彼れが「私を呼んだ」と言ったと云う事は、お千代が無意識の内に呼んでしまったのか。
「珍しいネエ……おっと、君には消えてもらおう」
然う言って妖狐は、微かに震えるお千代を他所に、指を私の目に近づけ——待て、語り手がいなければ物語は……
「
————……ッ。流石に私も目潰しを喰らうわけにはいかず、其の足を地に付け、
「……姉さん……なのか」
私の姿を見つけた
「ヘエ……」
暫く
/*視点変更*/
マコトは、「セイエイ」の関係者である
「何う云う事ですか。僕の知るジョーク宗教
「其れはAFNFと云う言葉の問題だ。意味が広過ぎる。地球が崩壊してからは勿論の事、地球中で信仰されていた時代も多様だった。異星人の時代もね」
「……」
マコトは返すべき言葉を見失った。其の代わりなのか、ひよいが呟いた。
「最近は地球がよく崩壊するね」ひよいの呟きで、一柱、赤い鳥が
「ゼエゲは一国家だったろう。其れにゼエゲに関して言えば母星の名前を識れてない」
迂遠な言い回しにはなったが、ひよいは地球を一つの国家として捉えていたらしかった。流石に、
「ネエ
思案をしつつも、マコトは赤い鳥——ナルアッヺンに斯く〳〵然々を伝えた。
「
「ナルアッヺン、お
「
「……
ネルチャガンの言う謎は先程のテサノタが
「ええ。J7ESFは、
「……君はJ7ESFに神を見たか、否か」
ネルチャガンはマコトの質問に答えず、マコトとの話をじっと聞いていたひよいの上に
「私ですか。いえ。あれは
ひよいが言葉を紡ぐ内に他の神も周囲に集まって来た。ナルアッヺンとクハベズルヴとが出していた
「ナルアッヺン、お前は
「最初から語りますね。地球以前、我々は
赤い鳥のナルアッヺンの語りを聞いていると、本当の世界は其れで、自分の知る世界は
「だから、
「
「ちゃんと
マコトは、其の言い回しに、J7ESFのサナエ
——「
「クヱアツ」
「あ」
「……で、
J7ESFは
其の
「……行く
「あの」
「……
「……其れなら、其れで」
「……サア、お
「ケンタウロス
「いいね、
「…………」
どうも、J7ESFの
「……
「
ネルチャガンではなく、ナルアッヺンが
「いえ……
「エヽー」
「……ぢゃ、
「あ、
「
「
「はい……」
「
「ひよい
「
マコトはひよいに
「
「
マコトは
「……『
其の
「
「
「
「まあ、
「うん……。
「あら、
「お
…………
「もう
「
ウエモンは
「
「
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