第22話 団地越え阿弥陀
本当に血縁関係があるのかさえもわからないほど遠い親族の葬儀に行った。
そこは初めて訪れる郊外の街で、葬式が行なわれた市営の葬祭場は大きな河に面していた。
参列者が少ない簡素な葬儀は、2時過ぎに終わった。葬祭場へは駅からタクシーで来たのだが、帰りはバスを使うことにした。
バスはタクシーとは違う道を通った。古びた団地の脇を通る道を延々と走った。
ふと窓の外を見ると、5階建ての団地の建物の向こうに、巨大な阿弥陀三尊が立っていた。 中尊の阿弥陀如来は胸から下、脇侍の観音菩薩と勢至菩薩は首から下が建物に隠れていたが、じわじわとせり上がってきているようだった。
3体ともくすんだ金色をしており、なぜかとても不機嫌そうな顔をしていた。
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