もやし生活

きのp

もやし生活

もやし生活


僕は、高層マンションに住んでいる。


しかし、窓は、ない。板で打ち付けてある。


よって、外界の景色は、まるで、見えない。


そこで、僕は、もやしを栽培している。もやしは、ぐんぐん育ち、


僕は、そのもやしを食べる。


僕は、そういう生活を2年続けた後、地元のスーパーに就職した。


その理由は、もやしを育てなくても、スーパーで買えるし、なにより、もやしというのは、

“袋詰めにされているのもいいじゃないか”と考えたからである。


そんな訳で、僕は、青果部に配属希望を出し、


もやしを陳列し、エアコンの利きを確かめ、温度チェック表に、サインをし、


上司の指示にしただって、他の野菜も、切って、パックに入れ、値付けをし、


「もやしの事は、僕の、もやし熱を、誰にも言えないまま、」と言っても、


もやしを調理したり、大量に買うことは、しなかったし、


僕は、もやしのある職場でいられれば、それで十分なのだった。


もやしの透き通る色と、食感、もやしごりごり。


そして、僕は、家で栽培する手間が、省けたので、


“窓に打ち付けてある板を外し”、もやしを職場で買い、


休日を迎え、加熱調理をし、ばりばり、ごりごり、袋づめされた、もやしを食べるのであった。



End

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もやし生活 きのp @kinopiii

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