第38話ボウリング①

 シュッ!────パッカ~ン!ガラガラッ!



 そこに入った瞬間懐かしい心地よい音が聴こえてきた。


「最初はここに来たかったんだよね♪」



 日和に腕を組まれて連れられるように向かった先はボウリング場。


「へぇ~。ボウリングかぁ」


「豊和っちはやった事ある?」


「勿論やった事はあるよ。日和はボウリングにはよく来るの?」


 やった事があるのは前世の事だけど…。まあ、数回行ったくらいかな。確かその時のスコアは100いくかいかない位だったと思う。今の俺は色々してるし、もう少しいくんじゃないかな…?やってみないとなんとも言えないけど。


「うん。一回してみてからハマってしまったんよ。ボウリング場のこの雰囲気も好きだし、モニターに映る独特なスコア画面も好きだし、ボールを放ってピンがパカ~ンって倒れる音も好きだし。ボウリング場の一角にあるちょっとしたゲームする所も割と好きかな。マイボールも欲しいんだけど、高いんだよなぁ」


 まくし立てるように次々にボウリングの好きな部分を語る日和。本当に好きなんだなという事が表情からも伺い知れる。


「っ!?わりぃ…つい喋り過ぎたっ」


「いや、そんな事ないから気にしないでいいよ」


「そ、そうかぁ?ま、まあ、とりあえずシューズ選んでボールを選んで早速始めようぜ!」


「オッケー」





♢♢♢


 


 シューズとボールを選んだ俺と日和はレーンに移動。投げる順番は日和、俺の順。早速ボールを拭き拭きして日和の一投目。


「見せてもらおうか…日和の性能とやらを」


「豊和っちはいつ赤い奴になったんだよ…まあ、見ててよ」


 見ててよと自信満々に言う日和。好きと豪語するくらいだ。その腕前はかなり上手いんだろう。流石に下手とかいうオチはないよな?ないよな?



「──行くよっ!」


 綺麗なフォームから放たれたボールはククッっと弧を描き真ん中へ──



 ──パカ~ン!とボールに弾かれたピンが勢いよく跳ねて次々と倒れていく…


「やりぃー!」


 ピョンピョンその場で飛び跳ねて喜ぶ日和。胸がブルンブルンしているのは言うまでもないだろう。


 すると突然…両頬に痛みが走った!なんだなんだっ!?めちゃくちゃ痛いんだがっ!?視線を日和から外し、周りを確認すると…


「…どこ見てるの?」


 俺の隣に冷たい声を発しながら俺の片方の頬をつねっている優花の姿が見て取れた…。その視線はジト目である…。


ふゅうかっ優花…?」


「そうだよ!豊ちゃん早く優花ちゃんの問いに答えて!」


 凛の姿もある…。もう片方の頬をつねっているのは凛だった…。


ほほほぅふぅうねはほはふぅははふはっ頬をつねられたまま喋れるかぁ!?」


「ちょっ!?かぐっちも感動っちも何してんのっ!?豊和っちが痛そうだから離してあげなよっ!?」


 日和がそう言ってくれたお陰でようやく両頬から二人の手が離れてくれた。


「…ったく…。何してんだよ、優花も凛も」


「あっ…いや…その…人違いよっ!」


「いやいや…何が人違いだよ…」


  優花よ…流石にそれは通らんだろ…。


「そ、そうだよ!優花ちゃんの言う通り私達は優花と凛っていう名前じゃないもん!」


「かぐっちの名前言ってるしっ…」


 日和の言う通りだと思う。凛は凛で無理があるだろ…。


 二人とも言い訳は無理だと思ったのか、お互い顔を見合わせ頷き…


 


「き、奇遇ね」

「ぼ、ボウリング場で会うなんてどんな偶然だろうね!?」


「「いやいやいや…」」


 俺と日和の声がハモる。


「優花と凛が尾けてたの知ってるからな…?」


「「…へっ…?」」


 バレてないと思ってたんかい…。二人は心底驚いている…。


「かぐっちも感動っちも本気…?本気でアレでバレてないと思ってたの…?子供の方がもっと上手く隠れると思うし」



「二人とも茶番はもういいだろ?」



 俺の言葉に二人はまたもや顔を見合わせ頷き合い…



「…バレたら仕方ないわ!」


「だいたい豊ちゃんが日和ちゃんの胸をガン見していたのが悪いんだよ!」

「そ、そうよ!」


 いかん…矛先がこちらに向いたか…!?あんなに揺れていたら男なら仕方ないだろ?そんな言うてガン見はしてないよな!?一瞬だろ!?できるだけそういうのは見ないように視線を向けないようにしてるんだが!?


「み、見てた…?ま、まあ…豊和っちなら…別にあたしは…」


「「「んなっ!?」」」


 その発言は大変危険だぞ、日和!?


「こ、こうなったら…」

「うん、優花ちゃん!」


「「ボウリングで勝負よ!!」」



 なんで…そうなる…?何の勝負なんだよ…。


「いいよ、面白そうだし♪」


 

 日和が何の勝負か分からない勝負を受けた…。ついていけてないのは俺だけだろうか?



「ただ勝負するだけならつまんないし、勝者は何か一つ叶えられるようにしよっか」


「いいわよ」

「うん」



 まあ、三人がいいなら俺はな…。



 余談だが…その頃の愛はというと…



「またストライクですね…ふふっ…いい調子です☆」



 一番端っこのレーンで一人ボウリングを楽しんでいた…。


 








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