第50話
そうして僕がクイーンホーネットからソルジャーホーネットへと狙いを変えてから、それほど経たずにクイーンホーネットは自身に毒針を向けた。
毒針からは毒液が噴射されてクイーンホーネットの身体にも毒液が付着しているが、それ以上にスライムたちの身体に毒液が掛かっている。
それもクイーンホーネットの毒液はクイーンホーネット自身も毒に侵されるほどに強力な毒のせいか、スライムたちの中から毒液を多く浴びてしまったスライムは力尽きてクイーンホーネットから次々に剥がれ落ちていく。
僕はスライムたちが次々に倒されていくのを感じ取り、クイーンホーネットの方へと顔を向けた。
飛んでいるクイーンホーネットの下の地面には大量のスライムがドロ〜ンと溶けてしまっている。
そんな溶けているスライムたちもすぐに消滅していく。僕は急いでスライムを掛け合わせ召喚で次々に召喚していった。
召喚したスライムたちをすぐにクイーンホーネットへと攻撃する様に指示を出すと、スライムたちの多くが倒されたことで隙間が多くなっているクイーンホーネットへと鋼の矢を放っていく。
「あれ?」
クイーンホーネットに突き刺さった鋼の矢が思ったよりも深く突き刺さっている。
スライムたちが貼り付いて溶かしていた効果で、クイーンホーネットの殻の強度が落ちたのだろう。
これなら属性鉱石の鏃でもクイーンホーネットに攻撃が命中するはずだ。
火属性以外の属性鉱石スライムとアロースライムを掛け合わせ召喚を行ない、僕の周りには矢に形を変えるスライムたちが現れる。
次々と属性鉱石の鏃が使われた矢がクイーンホーネットに放たれる。
「よし!」
突き刺さった属性鉱石の鏃の効果が発揮して属性攻撃でクイーンホーネットにダメージを与えていく。
それからの戦いは苛烈を極めた。クイーンホーネットに未だに貼り付いているスライムをソルジャーホーネットが排除に動いたり、森の中から現れるソルジャーホーネットの数がどんどんと増えて来たり、クイーンホーネットが狙いを付けずに毒液を辺りに撒き散らしたりと本当に大変だった。
ソルジャーホーネットからの攻撃を凌いでクイーンホーネットの頭部と胴体が繋がっている場所に移動したリムが行なった攻撃がトドメになって、魔蟲の密林のボスモンスタークイーンホーネットは倒されたのだ。
そうしてようやくクイーンホーネットに勝利したことでダンジョン魔蟲の密林の攻略が終わった。
帰還用の転移魔法陣が現れたのを確認しながら、僕は生き残りのスライムたちにクイーンホーネットを優先して捕食する様に指示を出していく。
その間に戻ってきたリムを連れて宝箱の前に移動して宝箱の蓋を開けた。
「これは槍だね。」
宝箱の中に入っていたのは一本の槍。それがどんな装備品なのかは分からないがとりあえず呪われたアイテムではなさそうだ。
リムに槍の回収を頼むと、スライムたちとも協力して僕たちはあちらこちらに散らばっているソルジャーホーネットのドロップアイテムの回収を行なっていく。
あまりにも数が多過ぎたせいで大量の魔石と魔石よりは少ないが、それでもかなりの量のあるソルジャーホーネットのドロップアイテムを回収して僕たちはダンジョンの外へと転移の魔法陣を使って転移を行なった。
転移後、僕たちは冒険者ギルドで依頼の報告や宝箱から手に入れたアイテムの精算をする。
道中にあった宝箱から手に入ったアイテムはそこそこの値段で売れたのだが、最後に出した攻略報酬の宝箱から手に入った槍は魔法武器の一つだったらしく売る場合は高く売れそうだった。
でも、この風転の槍はスライムに捕食させる為に売らずに回収し、宿屋で捕食させることにした。
「あ〜やっぱり駄目だったか。」
宿屋で風転の槍が捕食されるのを見ながら待っていると、どうやら魔蟲の密林で待機していたスライムたちがクイーンホーネットに挑戦して全滅した様だ。
流石に50匹のスライムたちでもクイーンホーネットと大量のソルジャーホーネットには敵わなかった。
出来れば勝って欲しかったと思いながらリムと宿屋の部屋で休息を取る。
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