第42話
ソードスライムとミスリルスライムの掛け合わせのスライムが変形した剣でフォレストスパイダーを切り裂いた。
「ふぅ、うん。これなら戦えそうだね。」
『マスターの動きも良くなってるね!ボクも負けてられないよ!!』
「それじゃあ次のモンスターはリムに任せるよ。」
『うん!ボクの出番だあ!!』
ピョンピョンと跳ねるリムに気を取られていると、フォレストスパイダーがドロップアイテムと魔石に変わった。
リムがドロップアイテムと魔石の回収をすると、僕たちは先行しているスライムたちに追い付くためにも森の中を移動する。
あと少しで先行して戦闘中のスライムたちの元へと近付いたところで、僕はブーンと虫が飛んでいる音が聞こえた。
「リム、新手のモンスターが来たよ。」
『ボクの番だね!』
どうやらモンスターはこちらに向かって飛んできている様だ。そのモンスターの姿も見えてきた。
確かコイツは突撃カナブンだったはすだ。凄い勢いで突撃して体当たりをする。それだけしか攻撃手段はないけれど、あの速さで体当たりなどされてはひとたまりもないだろう。
そんな真っ直ぐに突き進んできている突撃カナブンに対して、リムは身体の大きさをラージスライムと同じサイズに変えると、そのプルプルな身体を硬い合金へと姿を変える。
ミスリルスライムとスチールスライムの合金で身体を構成したリムは、更にそこから身体の表面にシールドスライムの盾を幾つも作り出して突撃カナブンを待ち構える。
突撃カナブンと準備が終わったリムがぶつかり合う。密林の中にグシャッと言う音が響いた。
どうやらリムの硬さに負けて突撃カナブンは自分から突撃して潰れてしまった様だ。
今のリムの身体には突撃カナブンの体液や残骸が大量にこびり付いていて汚い感じになっている。
「リム、捕食しちゃっていいよ。」
まだ突撃カナブンとはボクとリムは戦っていない。他のスライムは既に戦闘をしているかも知れないが、僕からしたら初めてな事もあってリムに突撃カナブンを捕食させる。
魔石もさっきのぶつかり合いで粉々になってしまっているせいで、突撃カナブンを倒して手に入った物はスライム召喚で召喚可能になるスライムが増える為の何かが増えただけだった。
『マスター!階段が見つかったよ!!案内するから付いて来て!!』
リムがピョンピョンと飛び跳ねる後を付いていく。どうやら魔蟲の密林に解き放ったスライムの誰かが階段を発見した様だ。
僕たちが階段のある場所を目指して進んでいる間に、スライムたちも一斉に階段の元まで移動を開始している。
10分ほど経った頃、スライムたちが発見した階段にたどり着いた。幸いな事に階段の周りには冒険者が居なかったのは良かった。
スライムたちが全匹集まるまでの間に僕はリムからスライムたちがどんなモンスターを倒していたのかを聞いていく。
フォレストスパイダー、糸吐き大芋虫、突撃カナブン、大毒蛾の4種のモンスターと戦っていたそうだ。
糸吐き大芋虫と大毒蛾とは戦っていないため、どれくらいの強さを持つモンスターなのかは分からないけどリムが言うには苦戦しなかったと言っている。
スライムだからこそ苦戦しなかったと言う可能性があるが、それでもスライムたちだけでも倒せるモンスターである事には違いはないだろう。
そうしてスライムたち全員が集合した事により僕たちは2階層へと続く階段を降りていく。
階段を降りた先も1階層と変わらない密度のある森の中だ。周りに冒険者の姿も見えない。これならと僕はスライムたちには隠密行動を心掛けて探索する様に指示を出すと、2階層でもスライムたちだけで探索させる。
スライムたちがあちらこちらに散らばるのを確認すると、僕たちも移動を開始した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます