第34話

 祝福の儀でギフトを授かってから丁度今日で1年が経った。もう去年のあの頃よりも身体は丈夫になり元気いっぱいだ。


 そんな今日は誕生日だと言う事もあって家族が勢揃いしている。


 去年は人間族との戦争に駆り出されていた長男のショウと次男のトオルも一緒なのだけど、2人は忙しいので僕に誕生日プレゼントを渡したらすぐに王都へと出発するそうだ。


 「誕生日おめでとう、カナタ。魔法使えないお前に俺からはこれをプレゼントだ。」


 そう言って長男のショウから渡されたのは魔法の防御を上昇させる効果のある腕輪だ。


 ショウ兄さんが言うには効果としたら30%くらい魔法防御力が上昇する装備で、それなりの数が出回っているが効果な代物である。


 「俺からはこれだぞ、カナタ。カナタは弓が得意になったって言うからな。これだ!」


 次男のトオル兄さんが用意してくれた誕生日プレゼントは弓だった。


 何かしらの樹木が使われているのは分かるが、これは初見の樹木で作られていると思う。


 どんな素材を使って作られているのかはトオル兄さんが教えてくれたのですぐに分かった。


 鋼のような硬度を待つ樹木である鋼樹を使用して作られた鋼樹の長弓という弓だそうだ。


 早速どれくらい使えるのかを見せて欲しいとトオル兄さんが言えば、家族全員も気になるのか練兵場へと移動して使ってみることになった。


 練兵場に置いてある矢を10本リムに持って貰うと、僕は遠く離れた的を狙ってリムから渡された弓を弦に添えて弓を引き絞る。


 ビーンッと音が弓から鳴って放たれた矢は真っ直ぐと的へと向かって突き進んだ。ダンッと音がして矢は的に突き刺さった。


 「なかなかやるじゃないか、カナタ!」


 「これなら冒険者になってもやれそうだな。」


 2人の兄さんに褒められる。戦闘に関わることに対しては真面目な2人なのだからこの評価はかなり良く、僕は褒められて嬉しくなる。


 それから続けて残りの矢も的へと命中させると、僕たちは練兵場を後にした。


 「父さんや母さん、ミスズのプレゼントがどんな物なのかは気になるが、俺たちは向かうよ。」


 「手紙に書いてくれよ、カナタ!」


 「うん!行ってらっしゃい!!」


 家族全員でショウ兄さんとトオル兄さんを見送ると、僕たちは屋敷に戻って誕生日会の続きを行なった。


 今年のミスズ姉さんからの誕生日プレゼントはミスズ姉さんが仲間たちと各地を回って手に入れた素材だった。


 その中にはミスリル鉱石やドラゴン系モンスターの素材に貴重な素材ばかりが入った箱を渡される。


 「ミスズ姉さん、ありがとう!これでリムがもっと強くなるよ!」


 「喜んでくれて良かったよ、カナタ。」


 【スライム召喚】を強化するのに必須な素材が手に入って喜ぶ僕の頭をぽんぽんとミスズ姉さんに撫でられる。


 すぐにリムやスライムたちにミスズ姉さんから渡された誕生日プレゼントで貰った貴重な素材たちを捕食させたいところだが、まだ父さんと母さんの誕生日プレゼントが残っているので


 「私と母さんからも素材だぞ。今回は色々と仕入れないで珍しい素材を集めたから数が少ないがな。」


 「私からは紅茶や香水とかを用意したはあとはお酒ね。これをスライムが出せるようになれば、カナタはこれから苦労しないでしょうからね。」


 渡されたマジックバックは2つ。それを僕は父さんと母さんから受け取った。


 どちらも僕の今後のことを考えて用意してくれた物だ。父さんからは戦力強化や金銭を増やせる様に、母さんからはより金銭を増やせる様にだろう。


 今後のことを考えればお金はいくらでもあっても困らない。貴重な素材や装備に魔道具のことを考えればいくらでもお金が欲しいのだから。


 両親から貰ったこの素材たちも今後の冒険者生活の役に立つ物ばかりだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る