第20話
召喚可能なスライム種たちの能力の確認や姉さんとの模擬戦をしてから数日間は、僕は貴族としての勉強で忙しかった。
今まで濃度の濃い魔力に蝕まれていたせいで、僕は貴族としての勉強も最低限でしか出来ていなかったが、ここ数日の間でマナーや礼儀作法に関しては完璧にはほど遠いがそれでも充分なほどにはなっているはずだと思う。
そうして僕が貴族としての勉強をしているその間、リムやスライム種たちは姉さんに特訓を付けて貰っていた。
スライム種それぞれがそれぞれの戦い方があり、姉さんのこれまでの冒険者生活で知り得た知識を活かして教えているそうだ。
その中には対人戦、モンスター戦、ダンジョンの罠、警戒の仕方など多岐に渡り、出来れば僕も教わりたいほどだった。
貴族として及第点を貰えた僕は数日ぶりに姉さんと練兵場に来ていた。
「ミスズ姉さん、今日は何するの?」
「今日はカナタに武術の稽古を付けようと思ってね。父さんからも許可を貰ったから頑張るんだよ。」
「えっ!いいの!!」
この数日間は体力作りの運動も貴族としての勉強会と共に行なっていた。僕自身はまだまだ体力作りの時間なのだと思っていたが稽古を付けて貰えるのは嬉しくて興奮する。
「とりあえずカナタの適正を確認したいから、まずはこれを使おうね。」
「うん!」
姉さんから手渡された木剣を僕は受け取った。重さも片手で持てる程度の重さだが、これまで運動らしい運動をしていない俺には若干だけど重たく感じる。
そうして僕が姉さんに握り方や振り方、身体の動かし方などを教わっている間に、召喚していたリムたちスライム種はそれぞれがそれぞれの姉さんから貰った課題を行なっていた。
「ミスズ姉さん、どうかな?」
「まだ何とも言えないね。でも練習方法は分かったでしょ。次はこれを使ってみて。」
それから僕は様々な木製の武器を姉さんから使い方を教わって練習していく。その中には少し見ただけでその武器には才能がないと分かる武器は姉さんから才能がないと直接言われた。
そして姉さんから才能があるかは分からないが最低でも人並み以上になれると判断された武器がこの3つの武器だ。
一つ目は刀剣だ。特に短剣術に関しては姉さんからなかなか筋が良いと言われた。
二つ目が槍術、長槍に関して才能がなかなかあるのではと姉さんから言われた。
最後の三つ目が弓術だ。大体のエルフ族は弓術に対して才能があるが、僕は特に弓術に才能が姉さんから見てあるそうだ。
「この三つの中で特に練習するのなら弓術を練習する方が良いと思う。カナタは前衛にスライムたちがいるからね。」
「スライムたちが相手を抑えている間に僕が離れている場所から矢で攻撃すれば良いってこと?」
前線でスライムたちと一緒に戦うよりも現実的な方法かも。僕がスライムたちに混ざっても上手く戦える気がしないし。
「そうだよ。まずは動かない的に命中させるのを目標だね。その次に動くスライムたちを的にしてみなさい。」
「えっ、スライムたちを?」
「スライムは核を貫かないと矢で倒すのは難しいからね。それにカナタならいくらでも召喚することが出来るんだから。」
動く相手に攻撃する練習をするのなら召喚可能なスライムを攻撃した方が良いかも知れない。リムから許可を取れば問題もないだろう。
「私がいる間に教えられることは教えてあげるわ。」
「あれ、ミスズ姉さんはいつまで居るの?」
「あと1週間はいる予定ではあるよ。でも急な依頼があるかも知れないからね。」
A級冒険者の姉さんなら指名依頼もあるか。それに今は国軍も人間たちとの戦争でそれなりの数が国内に居ないし。
それならA級冒険者の姉さんたちのパーティーならモンスター対策としてダンジョンや魔境に向かうのも可笑しくはない。
それから僕は姉さんがいる間、三つの武器の使い方や戦い方に冒険者としての知識を教えて貰うのだった。
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