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教えられた場所は、絶対足を踏み入れることもないような駅裏の盛り場。そのさらに奥、路地の突き当りに立つ雑居ビルだった。
袖看板に〈JOYビル〉とある。間違いない。聞いたとおり1階はスナックだ。
煤けた壁に亀裂が
どこがマッサージされてもりもりになるのか、実に明解だ。
電飾の横に立つ呼び込みのオネエサンがボクに気づいた。
割り箸のように細い脚が超ミニから伸びている。
「あら〜、おにいちゃん、ちょっと若過ぎだなあ。けど、興味あるよね。騙されてあげる。19歳だって言って入っちゃえ」
ボクはうつむいて横をすり抜けた。からかうような笑いを背中に浴びながら、狭い階段をのぼる。
行先は3階。マッサージ店のボーイが仕事じゃなくて良かった。〈もりもり〉を通り過ぎて3階へ行く。
重い足で段を踏みつつ思う。どうしてボクがこんなに一生懸命になるのか。
――それは、アネゴが雪ちゃんの親友だからだ。
それだけじゃない。アネゴはワルの仮面をかぶって、ウチの生徒を他校の暴力から
だが、やはり、ヤバい連中とのつき合いには、相応の代償があったというわけだ。それを思い知る。
家を不良の溜まり場にして、暴力をふるう義父を追い出した。そこまではいい。けれど、それで終わりじゃない。不良たちとの縁は、むしろそこが始まりだ。こうして悪縁は、ずっとアネゴに絡みついている。
3階の店名は〈LUCKS〉。運、 運勢、 巡り合わせ……そんな意味だ。
開店は18時からと聞いた。15分前だ。
アブナイ事なんてこれっぽっちも無いよ、と笑った源田オバサンの顔を思い出しながら、黒い木製のドアを押した。
中には重苦しい空気が
入ったところに受付カウンターがある。無人。
まっすぐ通路が通っていて、両脇にお一人様サイズのブースが並んでいる。遮るのはカーテンだけ。今はすべて開け放たれている。ブース内には小ぶりのデスクとリクライニングチェア、デスクにはパソコンが備えられていた。
一見ネットカフェだが。
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