ユニコーンの仕事


十一、カーディフ


 その日、アレクセイの代わりに、ハシントの国の国境近くのリラの町に行ったアレクセイ・・・ユニコーンは瞬間移動が行える・・・この任務を行うときのみ・・・は、とある男性兵士の元に行っていた。

「あなたですか、僕らを呼んだのは」と、カーディフが淡々と言った。ユニコーンの姿ではなく、人間の姿だ。

「お、お前は誰だ・・・俺は、神々に向かってさけんだはずだが・・・」と、その、片腕をなくし、包帯姿の男が言った。

 左腕がない。

「僕らは、神々の使い、神々に仕えるユニコ―ンの一人です。あなたを救いに来ました。あなた、自殺を考えているでしょう」と、カーディフが冷静に言った。

「俺の家族が・・・俺は、家族を守るために出征した。なのに、家族はトロールやオークに殺された。家に帰ったら、無残な死体が転がってた。神々に文句がある。俺の命‥・残りそんなに長くない・・・をさしだすから、家族を救ってくれ、と言いたいんだ!!」と、男性が泣きそうな目で言った。

「あんたがユニコーンと言う証拠がどこにある!!??」と、その男がわめく。

 カーディフが、肩をすくめ、目を閉じ、ユニコーンの姿に変身した。

「ひっ」と叫んで、男が後ろに尻もちをつく。

「ユニコーンなんて、本当にいるのか・・・伝説上の生き物かと思っていたが」と、男。

(このまま、天寿を全うしなさい。もうあなたは戦う必要はない、ただ、生きることを諦めてはいけない。拳銃自殺も、やめておきなさい。僕には、君の心の中が見える。そうすれば、天国へ行き、奥さんにも、お子さんにも会える。約束する。自殺したら、悲惨な末路が待っている)と、ユニコーン姿のカーディフが、念を送った。テレパシーのようなものだ。

「!?!?お、お前、言葉を・・・やっぱり、本物のユニコーン・・・・」と、男が言った。

 それから、すこしして、男はしょんぼりとなり、

「分かりました、ユニコーン様、俺は生きることを諦めません。仲間とともに生きます。天国で、家内と会えるんなら」と言って、男は涙を流し、その場を静かに立ち去った。

 人間の姿に戻り、カーディフは複雑そうな顔をすると、ため息をついて、ユニコーンのコロニーに戻った。

「お帰り、カーディフ」と、フロゼラが言った。コロニーの居間で、ココアを入れて待っていた。

「はい、これ」

「――ありがとう、フロゼラ」と言って、カーディフはココアを受け取った。


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