不死鳥からの手紙

「なんで来なかったんだろうな。戦時って、普通何通かは送るものなのに」と、ケヴィン。

「そうなんです・・・夫からは、一通もこなかった。最期に、私、夫へ一通手紙を書いて、自殺しました。そしたら、神様から、ユニコーンになるように言われて」と、水面にうつるユニコーンの姿の自分を見つめて、クラリスが言った。

 その時、はらりと降る雪の合間を縫って、一羽の赤い美しい鳥が三人の後ろに舞い降りた。独特な鳴き声をあげて空から舞い降りる。

 ケヴィンがあわてて降りかえる。「なんだ?」

 それは、ムクドリやコマドリといった普通の鳥ではなかった。伝説で言う、不死鳥(フェニックス)だった。そんなに大きくない。実物で見たのは3人とも初めてだった。

 鳴き声をあげて、不死鳥が3人を嘴で小突いた。

 見ると、足に手紙をぶら下げている。

「手紙だ!神々からかな??」と、シャトル。

 手紙を外すと、不死鳥は満足したように、唸り、鳴き声をあげて虚空の彼方へ飛び去った。

「クラリスさん・・・あなたへですよ」と、シャトル。

「え!??!」と、クラリス。

「fromフラウ・・・・って、あなたの亡くなった旦那さんから?!?!」と、シャトル。

「おい、俺にも見せろ」と、ケヴィン。

 ケヴィンが宛名や差出人を確認する。

「おかしいな、神々からにしては、正式な紋章の印鑑がないな」と、ケヴィン。

「偽物か?!?」と、ケヴィンが封を開けず、クラリスに手渡す。

「一応、見せておきますね」と、ケヴィン。

「・・・でも、これは、偽物じゃないと思う」と、クラリスが言った。

「だって、この点と線のマーク・・・フラウが好きだった、羅針盤座のマークだもの」と、クラリス。

「それなら、一応信憑性はありますね」と、シャトルが言った。

「ちょっと、見てみます」と、クラリス。


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