1章 ロス編
第4話 老人との出会い
この素晴らしい光景を自分という存在が崩してしまうのではないかと思案し、家に向かうことを、一瞬躊躇させる。
しかし、転生してどれほどたっただろうか数時間、数十時間経過し、人に、人間らしいものに触れたいといった、今までに感じたことのない欲求が湧き上がり。家へと体を移動させる。
家に近づきドアをノックしようとするが、その手は何かを叩くことはない。何にも阻まれることなく扉に手が飲み込まれた。ドアを叩くことができなかった手を見つめてしまう。美しい光景に目を奪われ、不意に行った人間だったときの行動を拒否されることに心を少し締め付けられる。
ははっ、物を触れないのわすれてた、、、。
言葉にできない思いを胸に仕舞い込み、そっと扉を貫通する。
頭を覗かせるだけではなく全身を家に入れた。扉から頭が生えてくるといった人の理から離れた行為を無意識に拒否した。先に拒否された結果を否定するかのように、人間ぽい行動を無意識に選んだ結果と言えよう。
え。意外と綺麗だ。そんな感想が零れる。壁にツタが張り巡らされ、古びた印象受けた外見からは想像できないほどに、中は綺麗に整えられていた。暗い印象は受けるが、赤いカーペットに壁に飾られた絵画、統一感のある一つ一つの調度品、嫌な派手さは感じず、品を感じる。
放置されているとは思えない家具の状況に嫌な汗が流れる。
誰か住んでいるのか、、?
住んでいるのが人であればいいが、それ以外の化け物が住み着いている可能性も否定できないことに、今更になって気づく。しかし、その考えも人がいて欲しいという欲求によってかき消される。
明らかに誰かいる。扉の前で様子を伺う。中に人がいる空気を感じる。
「フォッフォッフォ。ようやくワシにも迎えがきたって所か。ほんとに死神が迎えに来るとは思わなんだが。」
目の前の扉の前から年老いた男性の声が響く。
急なことに動揺した。こちらの存在に気づいてるのか、あるいは喋っている老人以外にもう1人人間がいるのか。どちらにせよ中を確認しない訳には行かない。
人間と出会えることに、気分も高揚していたが、実際に対面するとなると少し緊張する。無いはずの額に冷や汗が流れるのを感じる。
とりあえず中の様子が知りたい。老人1人なら話が通じるかもしれない。
緊張からか、危険性を直感で感じ取っているのかは定かでは無いが、扉からそのまま入室するのは少し憚られる。
そっと覗いてみるか、、?壁から少し覗く程度ならばバレない可能性もあるか、?と行動に移す。
扉から少しずれた壁から顔をのぞかせる。
すーーっ
視界が開けてきた...
スコッ
...頭にナイフが刺さっている。いや、正確に言うと、ナイフが実体を捉えたわけでなく、頭の位置の壁にナイフが突き刺さっている。
扉に向かって投げたものがたまたまこちらに刺さったとは思えないほどに正確な位置タイミングで頭を捉えていた。もし実体があったのならば、確実に今の一撃で死んでいたのではと震える。
老人は、こちらがそんな絶望を味わってることに、気づいているのか気づいていないのかもわからないほど愉快に笑う。
「この程度じゃどうにもならんか。フォッフォッ。 命でもなんでも持っていくが良い。」
なんか勘違いされてる...?
---------------------------------------------------------------------------------------------------------
こんばんは(.-.)
エアコンが壊れ絶望しているので数日投稿が開くかもしれません。すみません。
ようやく他の登場人物を出すことができました。これからも自分のペースで投稿していきたいと思います。(・a・)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます