第11話 関係と話

 俺は明莉と共に家に転移する。光に包まれた次の瞬間、玄関にいた。


「無事に転移出来たようだな。今から案内するよ」


「お願い」


 明莉を家に案内しようとした時、玄関の扉が開いた。美琴が学校から家に帰ってきたのだ。俺、明莉の順で視線を移す。


「お兄ちゃん、彼女?」


「なっ!? ななっ!?」


 明莉は大袈裟だな。美琴も揶揄わないで欲しいものだ。


「違うよ。俺と明莉は仲間で、だ」


「和真君。そう、私と和真は友達だよ」


「そうなんだ。揶揄ってごめんなさい」


「ううん。私も大袈裟な反応だったから、お互い様だよ」


 美琴と明莉は微笑み合う。女子は仲良くなるのが早いのか。とにかく案内するか。


「私は遠野美琴。お兄ちゃんがいつもお世話になってます」


「私は結城明莉。和真にはいつも支えて貰ってます」


 美琴と明莉の自己紹介が終わった後、俺と美琴は明莉を家の中を案内した。




 明莉を家のリビングまで連れてきた。俺は明莉にお茶を出した。


「お兄ちゃん。結城さんに失礼がないように」


「分かってる」


「結城さんはお兄ちゃんを好き勝手して良いからね」


「あ、あはは。明莉で良いよ、美琴ちゃん」


「分かりました、明莉さん。それじゃ、私は店の手伝いに行ってくる」


 美琴はそのまま店の手伝いに行った。俺と明莉も話し合おう。明莉は丁寧にお茶を飲んだ後、こちらを見つめてきた。


「さっきは勝手に友達って言ってごめんな」


「ううん。むしろ嬉しかったよ」


「じゃあ、改めて言わせて欲しい。俺と、友達になってくれないか?」


「良いよ。よろしくね、和真」


 明莉はすんなりと受け入れた。答えも即答だった。


「よろしく、明莉さん」


「明莉で良いよ」


「分かった、明莉」


 レジダンでは敵対するのだが、俺と明莉は自然と友達になれた気がした。明莉が寄り添ってくれたから、悪役モブじゃなくて遠野和真として見ていたから、友達にもなれたんだろう。


 友達になった次に本題に入る。


「本題に入る。秘密にして欲しいことがあるんだ」


「どれくらいあるの?」


 俺は秘密にして欲しいことを共有する。


「アイテムボックス、トレインレベリング、テレポートリングとテレポートルーム。これらを秘密にして欲しい」


「うん。特に秘密にして欲しい事は……」


「テレポートリングとテレポートルームのことだ。それ以外なら教えても構わない」


「分かったよ」


 テレポートリングとテレポートルームのことは特に秘密にして欲しい。頼んだぞ明莉。

 一番バレちゃいけないのは俺が持っている原作知識だろうが、話す時は考えないとな。


 ステータスも確認しておこう。


「ステータスでも見るか?」


「良いの?」


「確認したいことがある」


「私も見てみよ」


 俺と明莉は夜桜パッドを出してステータスを確認する。


【名前】 遠野和真 Lv5

【ジョブ】 未登録

【HP】 43

【MP】 45

【STR】 42

【VIT】 40

【AGI】 41

【INT】 37

【MND】 39


スキル〈1/2〉

【スローアップ】


 レベル5に到達しているか。これなら明莉の方をレベルが上がっているだろう。明莉は口角を上げていた。


「やった!」


「その様子だとレベルが上がっているみたいだな」


「うん。見る?」


「それなら俺の方も見て良いぞ」


 お互いの夜桜パッドを交換する。明莉のステータスはこんな感じであった。


【名前】 結城明莉 Lv6

【ジョブ】 未登録

【HP】 50

【MP】 100

【STR】 35

【VIT】 40

【AGI】 38

【INT】 70

【MND】 60


スキル〈1/2〉

【ホープアップ】Lv1


 これが明莉のステータスか。


「和真のスキルが無い?」


「嗚呼、俺のスキルはあるよ。ただ、明莉には見えていないだけだ」


「あっ! 本当にある! さっきまでは見えなかったのに、どうして?」


「恐らく、俺の発言で認知したからじゃないか。多分、認知か許可が必要なんだと思う」


 これについては憶測だが、大体合っていると考えている。


 それとレベルを見る限り鑑定が覚えられるな。明莉にも鑑定のことを教えておこう。


「明莉は鑑定を覚える気はあるか?」


「鑑定? ううん。鑑定って魔石とかに使うものだよね」


「確かにそれもあるけど、鑑定は相手のレベルを確認出来るんだ。鑑定されたことは相手にも伝わるけどな」


「そうなんだ! 和真は覚えるの?」


「俺は覚えるつもりだ」


 大体のモンスターのレベルは理解しているが、対人戦になった時に役立つかもしれない。


「私も覚えてみる」


「分かった」


 俺と明莉はスキル【鑑定】を覚えた。


「和真はジョブ、何にするの?」


 唐突にジョブについて聞いてみた。そう言えば俺はまだ考えていないって言っていたな。


「俺はまだジョブを取得するつもりなんてないぞ」


「えっ? だってレベル5に到達したなら取得出来るじゃん」


 やはり知らないか。


「ジョブが無いままレベル10に上がれば、スキルスロットが5つ増えるんだ」


「そうなの!?」


「恐らくだがな」


 これはレジダンの隠し使用で、レベリングをしている時に見つかったものだ。


「俺はレベル10になるまで、ジョブは取得しない。明莉は自由にしたら良い」


「私はメイジを取得したいからスキルスロットは欲しい。だから、今は取得しないことにするよ」


「そうか、分かった」


 なら明莉もトレインレベリングに組み込んで、早々にレベル10に到達させよう。そうすればジョブも取得出来る。


 さて、これが最後に話すべきことだろう。


「明莉はこれからどうするつもりだ? ステータスを見ればEクラスの中では上位だ」


「そうだね。私は、和真に付き添うよ。ジョブも取得したいからね。それ以外は変わらないんじゃないかな」


「そうか。俺はステータスを隠したまま、いつも通りの日常を送るよ」


「大丈夫、辛くない?」


「問題ない。俺はクラスメイトはどうでも良いし、目立ちたくない。最強になりたいだけだからな」


「あ、あははは。結構身勝手だね……」


 明莉が引き攣った笑みを浮かべる。本当にどうでも良いと思えてしまうのは俺が薄情だからだろうか。……薄情者かな。

 それに万が一があるかもしれない。だから実力を悟られてはいけない。


「まぁ、話すべきはこれくらいだな」


「そうだね」


 窓からは夕陽が差し込んでいた。時間を見れば結構話していたことが分かる。


「それじゃ、私は帰るね」


「送って行くよ」


「えっ? 良いの?」


「そのくらいさせろ」


「……うん」


 俺と明莉は家を出る。その後、女子寮まで送るのだった。




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レジェンダリーダンジョン~悪役モブに転移した俺、最弱から最強になってやる~ アンリミテッド @Anrimidetto

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